
最大限のリスペクトを込めて長嶋さんが豪快に空振りする有名な写真と同じポーズを取る須藤弥勒
日本女子プロゴルフツアー第12戦のヨネックスレディス(賞金総額9000万円、優勝賞金1620万円)は6日から3日間、新潟・長岡市のヨネックスCC(6339ヤード、パー72)で行われる。ジュニアメジャー4冠を達成し「天才少女」と呼ばれる13歳の須藤弥勒(ゴルフ5/太陽自動車)は4日、コースで練習ラウンドを行った。「調子は上がっています。目標は予選通過です」と、ツアー出場4戦目の今大会で現行制度としては最年少記録となる予選突破を目指す決意を改めて明かした。
弥勒にとって、究極の目標となるアスリートが3日に肺炎のため89歳で死去した巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(報知新聞社客員)だ。「長嶋さんは小学校の教科書に載っていました。とても、すごい人ですよね。亡くなられたことはとても残念です」と神妙に話した。
道徳の教科書には、長嶋さんの人生が記されている。1958年4月5日、後楽園球場で行われたデビュー戦の巨人対国鉄戦では金田正一さんから4打席連続で空振り三振を喫した。「教科書で、長嶋さんは散々なスタートからミスタープロ野球と呼ばれる最高峰の選手になったと習いました。私もこれまでのツアー出場は散々な結果ですけど、長嶋さんを見習って頑張ります」と、前向きに語った。
野球好きでもある父・憲一さんには、長嶋さんの数多くの伝説を聞いたという。そのひとつが豪快な空振りだ。「父に『長嶋さんは三振した時でもファンを沸かせたんだ』と聞きました。私もミスショットした時でもファンを沸かせられるような選手になりたいです」。この日、練習ラウンドが終わった後、憲一さんから送られてきた長嶋さんが豪快に空振りする有名な写真を凝視。最大限にリスペクトを込めた上で、同じようなポーズを取った。
この日、第1日の組み合わせが発表され、弥勒は小滝水音(静ヒルズCC)、吉本ここね(不二サッシ)と同組で10番から第1組(午前7時30分)でスタートすることが決まった。「小滝プロは練習拠点が同じ茨城の先輩です。吉本さんは練習ラウンドを一緒にさせてもらたったことがあり、とても、優しい方です。お二人と回れることはうれしいです」と笑顔で話した。
日本女子プロツアーでは2017年に13歳以上という年齢制限が設けられる以前には2011年の大王製紙エリエールレディスで松原由美が12歳270日で予選通過した例があるが、現行制度としては21年のスタンレーレディスで14歳91日で予選通過した新地真美夏が最年少記録。弥勒が今大会で予選通過すれば、現行制度としては最年少記録の更新となる。
13歳の弥勒にとって、長嶋さんは教科書で習った「歴史上の偉人」だ。「今大会で予選通過して、新しい記録をつくりたい。そして、将来、長嶋さんにほんの少しでも近づけるような選手になりたいです」。弥勒は言葉に力を込めて話した。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。13歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。22年8月に横峯良郎氏に弟子入り。22年1月からアマチュアも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、ダブル所属契約のゴルフ5と太陽自動車をはじめ計16社に推定総額3億6000万円以上の支援を受ける。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。