
優勝を決め笑顔でガッツポーズする佐久間朱莉(カメラ・馬場 秀則)
◆女子プロゴルフツアー 延田グループ・マスターズGCレディース 最終日(26日、兵庫・マスターズGC=6562ヤード、パー72)
単独首位で出たメルセデセス(年間ポイント)ランキングトップの佐久間朱莉(22)=大東建託=が今季、通算とも4勝目を挙げ、初の年間女王に前進した。6バーディー、1ボギーの67をマークし、大会記録を6打更新する通算25アンダー。2位との11打差は日本勢ツアー最大に並び、歴代2位タイ。初日からの首位を守り、5月のブリヂストンレディスに続く完全優勝を達成した。同一年の4日間大会での複数回完全Vはツアー史上初の快挙となった。
相手はいない。自分との闘いだった。逃げ切った佐久間は控えめにバンザイをした。「100点をつけてもいいぐらいのゴルフが4日間できた。25アンダーまでいくとは思わなかったのでビックリ」。日本勢のツアー記録に並ぶ11打差をつけ、ブリヂストンレディスに続く完全Vで4勝目。4日間大会で複数回の完全優勝を同一年に達成するのは、ツアー史上初の快挙だった。
8打差をつけスタートした18ホールは、いつもより長く感じた。「正直どんな気持ちでプレーしていいのか難しかった」というが心は緩まなかった。大会開幕前に、右に向きがちだったアライメント(ターゲットに対する構え)のズレを修正。この日も意識しながら回り「それがうまくいったのが一番」。毎試合同行する父・浩太郎さんは前夜に「寝違えだけは気をつけろよ」と声をかけた。他に言うべきことが見当たらないほど状態に不安はなかった。
男子ツアー94勝で師匠の尾崎将司(78)の教えが胸にある。「最初の3ホールと最後の3ホールだ。いいスタートをして、いい締めで終われ」。この言葉を大切にツアーを戦っている。2日目は16番から3連続バーディーフィニッシュ。最終日も3番までに2つ伸ばし「ジャンボさんからの学びを生かせていると思う」と自身の成長を実感した。2週後の日米共催大会TOTOジャパンクラシックで優勝なら、米ツアーに挑戦する可能性もある。「勝てれば考えたい。(可能性は)ゼロではない」と明かした。
今季開幕前に掲げた「ツアー初勝利」の目標を上方修正した。「年間女王になりたいと強く思うようになった。そのためにも5勝はしたい」。540ポイント差をつけ女王に前進した。優勝賞金3600万円を上積みし、今季賞金は1億9500円を超えた。史上4人目の年間獲得賞金2億円もすぐそこだ。「去年までは『1億円にいきたい』という思いでプレーしていた。今年は倍稼げたらいいな」。女王戴冠と大台突破へ、強みは増すばかりだ。(高木 恵)
◆佐久間の記録
▼完全優勝 4日間大会の同一年複数回達成はツアー初。森口祐子、宮里美香、申ジエ、山下美夢有が複数回達成しているが同一年は初めて。
▼25アンダー ツアー2位。昨年の大東建託・いい部屋ネットレディスで川崎春花が記録した28アンダーに次ぐ最少ストローク優勝。
▼11打差 日本人タイ。ツアー記録はローラ・デービース(英国)の15打差(1996年、伊藤園レディス)。2位が樋口久子(73年、東海クラシック)、服部道子(98年、伊藤園レディス)、不動裕理(2004年、日本女子オープン)の11打差。
▼大会記録 14年大山志保の19アンダーを更新
▼史上4人目の年間賞金2億円突破へ接近 イ・ボミ(15年)、山下美夢有(22、23年)、竹田麗央(24年)に続く年間2億円突破まで約500万円。

