塚田よおすけが9年ぶりV ポケットに手 ももつねり涙こらえて終盤プレー 陽亮から今季改名の40歳


優勝しトロフィーを受け取った塚田よおすけ(カメラ・岩田 大補)

優勝しトロフィーを受け取った塚田よおすけ(カメラ・岩田 大補)

◆男子プロゴルフツアー ダンロップフェニックス 最終日(23日、宮崎・フェニックスCC=7117ヤード、パー70)

 単独首位で出た40歳の塚田よおすけ(ホクト)が4バーディー、1ボギーの67をマークして通算13アンダーで逃げ切り、2016年日本ツアー選手権森ビル杯以来のツアー2勝目を飾った。本名の陽亮(ようすけ)から「よおすけ」に登録名を変更して臨んだ今季、用具契約を結ぶ住友ゴム工業社主催のホスト大会で復活。ツアー歴代6位となる9年171日ぶりのブランク優勝になった。今季日本ツアー初出場の松山英樹(33)=LEXUS=は7アンダーで5位だった。

 18番のグリーンに上がった塚田の目は、すでに潤んでいた。9年かけてたどり着いた2勝目の重みを実感した。「本当に幸せ。名前を変えてここまでアタフタしていたけど、若い子に負けないようにハキハキとゴルフをしたい」。長野から駆けつけた妻・香奈子さんと2人の息子が見守る中で、父はカムバックを遂げた。

 1番を3パットのボギーでスタートした。「あ、俺、今日緊張してるかも」。そうキャディーに伝える余裕があった。今年40歳を迎えた男は惑わない。自分をふかんしつつ、冷静に一打と向き合った。12番で2メートルのパーパットをねじ込むと、13、14番の連続バーディーでラストスパート。後続を5打突き放した。

 15番から右ポケットに手を入れて歩いたのは涙をこらえるため。ひそかにももをつねっていた。「『家族がいる前で俺、頑張っているんだ』と思って泣きそうになっちゃって」。妻も「子供の前でかっこいいところを見せてくれた」とパパ初Vに言葉をつまらせた。

 「子供たちに親しみを持ってもらえるように」と「よおすけ」に登録名を変えた。「5年間変えられない」というツアー規定を知ったのは変更後のこと。「45歳までひらがなですよ。恥ずかしい」。4月の前沢杯で、本名の小西貴紀から改名した小西たかのりがツアー初優勝を挙げており今季2人目の改名Vになった。

 賞金ランク70位からの復活劇で、日本シリーズJTカップ(12月4~7日、東京よみうりCC=報知新聞社主催)の9年ぶり切符を手にした。「初出場の時は間違って(同じ稲城市内の)よみうりゴルフ倶楽部に行ってしまった。今年は間違えないようにしたい」。宮崎の空の下、よおすけの笑顔が輝いた。(高木 恵)

 生源寺(2位に終わり今大会が日本ツアー最終戦に。賞金王は消滅。米ツアー2次予選会に備える)「予選会を通らないと何も始まらないので、しっかりいい準備をしたい」

 河本(12月の米ツアー2次予選会に挑戦。自身の国内最終戦で2位)「今日は松山(英樹)さんと回れて幸せな一日。来年は米国で戦えるように頑張りたい」

 ◆改名後に飛躍したアスリート

 ▽イチロー(プロ野球) 3年目の1994年に登録名を本名の鈴木一朗から変更。同年に打率3割8分5厘で自身初の首位打者を獲得した。

 ▽古橋亨梧(サッカー) J2岐阜入団時の17年に本名の匡梧から改名。18年夏にJ1神戸移籍、翌年11月には日本代表に初選出。

 ▽義ノ富士(大相撲) 11月の九州場所前に草野から改名。10日目に横綱・大の里から初金星。9勝6敗で新入幕から10場所連続の勝ち越しを決めた。

 ◆塚田 よおすけ 本名・塚田陽亮(つかだ・ようすけ)1985年5月24日、長野市生まれ。40歳。10歳からゴルフを始める。中学3年時に単身渡米しフロリダのIMGアカデミーで腕を磨いた。帰国後、名商大に進学し、2008年プロ転向。10年つるやオープンでツアーデビュー。ツアー21勝の池田勇太と同学年。173センチ、80キロ。家族は妻・香奈子さん、長男・大夢(ひろむ)くん(5)、次男・留夢(とむ)くん(2)。

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