【JTカップ】蝉川泰果2差5位で最終日「鬼門だと思っていた3日目に伸ばせた…あとはやりきるだけ」


18番パー3で太陽に向かってティーショットを放つ蝉川(カメラ・今西 淳)

18番パー3で太陽に向かってティーショットを放つ蝉川(カメラ・今西 淳)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 25年シーズン最終戦 メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第3日(6日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)

 逆転賞金王へ優勝が絶対条件の蝉川泰果(24)=アース製薬=が5バーディー、1ボギーでこの日のベストスコア66をマークし、通算6アンダーでトップと2打差の5位に浮上した。ツアー史上初となる賞金ランク3位からの最終戦逆転キングへ、2023年覇者が経験を生かす。11位で出たランクトップの金子駆大(こうた、23)=NTPホールディングス=も66で回り、5アンダーの6位にジャンプアップ。最終組の1つ前で同組に入り、直接対決が決まった。

 名物ホールの難関18番をパーで締めた蝉川の頬が少しだけ緩んだ。初日終了時に6打あったトップとの差を、2打まで詰めた。「3日目が鬼門だと思っていた。3日目に伸ばすことができたので、あとは最終日にやりきるだけ」。最終戦での逆転賞金王は過去に3人いるが、すべてランク2位からの達成。3位からツアー最大の下克上劇を演じる。

 1番で第2打がカップにはじかれ、7番では1メートルのバーディーパットが蹴られた。気持ちを切らせば終わる戦い。この日の66打に全集中した。16番で7メートルのスライスラインを気迫でねじ込んだ。「ジャストタッチで完璧に打てた。17番(パー5)もバーディーを取りたかったし、もう少し伸ばしたかった」と悔しさも口をついた。

 「しびれていた」という終盤はティーショットが左右にぶれながら、食らいついた。「すごい緊張。手汗がびちょびちょ」と振り返ったこの日の18ホール。優勝だけを意識し、自らにプレッシャーをかけながら大会を迎えていた。毎晩寝る前に「明日はうまくいくのかな」と弱気が顔を出す。

 前週のカシオワールドオープン2日目に、古傷の左背中に痛みが発症した。入念なケアを続けながら最終戦までつないできた。ショットも絶好調とは言えない中、5日のラウンド終了後に「応急処置」を施した。「真っすぐ打つ時も(左から右に曲がり落ちる)フェードのイメージで打つと球が安定した」。球が左に出るミスが続いたことを受けてのもので、クラブのフェースを返さない意識でムービングデーをプレーした。

 蝉川が優勝で、金子が4位以下なら初の賞金王が決まる。最終組の1つ前で直接対決が実現する。「18ホール中18個チャンスにつけるつもりで。ティーショット、セカンドショット、パターまで自分のアグレッシブさを出していきたい」。5勝中3勝がメジャーと大舞台に強い。2年前に最年少の22歳で制した得意コースで、奇跡の「泰果ドラマ」が動き出した。(高木 恵)

 ◆金子と蝉川の逆転優勝 蝉川はツアー通算5勝のうち1勝が最終日逆転。今年6月のメジャー、BMW日本ツアー選手権森ビル杯で1打差3位から最終日66で回り、通算10アンダーで並んだ堀川未来夢とのプレーオフを制した。一方、通算&今季2勝の金子はともに逃げ切りで最終日逆転Vはない。

 ◆最終戦での逆転賞金王

 ▽2000年の片山晋呉 ファンケル・オープンin沖縄で優勝し、賞金ランク2位から771万3253円差をひっくり返す。

 ▽17年の宮里優作 日本シリーズJTカップを制し、賞金ランク2位から1717万7831円差を逆転。

 ▽24年の金谷拓実 日本シリーズJTカップで3位に入り、288万9657円差の賞金ランク2位から。

 ※詳細な記録の残る1985年以降。

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