羽川豊 師匠・ジャンボ尾崎さんはアイデアマン 手作りラケット&ボールで手首強化「ハゴミントン」


91年、インペリアルゴルフトーナメントで優勝した羽川(右)を囲んでシャンパンを抜いた

91年、インペリアルゴルフトーナメントで優勝した羽川(右)を囲んでシャンパンを抜いた

 23日に死去した尾崎将司さん(享年78)は選手として通算113勝を挙げただけでなく、のちにトッププロに成長した弟子を数多く育てた。三弟で男子ツアー32勝の尾崎直道(69)、同14勝の飯合肇(71)ら「ジャンボ軍団」をはじめ、女子では教え子の西郷真央(24)は今年、海外メジャーのシェブロン選手権で優勝。佐久間朱莉(しゅり、23)は今季国内年間女王へと飛躍。自作の器具で趣向を凝らした独特な練習法で後進育成に励んだ。ジャンボ軍団の1人で、男子ツアー5勝の羽川豊(68)が師匠を悼んだ。

 1985年ぐらいから10年近く、ジャンボ軍団の練習に参加させてもらいました。僕が一番苦しい時にいろんな助言をもらいました。「4年苦しんできたから、4年かけて取り戻そう」という言葉をかけてもらったことが忘れられません。努力家で、強くなるにはどうしたらいいのか、そのために何をすればいいのかを常に考える人でした。

 練習では利き手と逆の左手の強化に時間を割いていました。ゴルフは利き手じゃない方のリードが大事。そこを鍛える練習を2~3時間ずっとやるわけです。手作りのラケットとボールを使って手首を強化する「ハゴミントン」を用いたり、ショートクラブを作ってみたり。重たいのは両手、軽いのは利き手と逆の片手で振る。野球のトレーニングをゴルフに取り入れたりと、アイデアマンでした。

 ジャンボさんの教えは体技心。体を作って技術をつければ、精神的なものは対応できるという考えです。オフの練習は1日10時間、朝9時から夜7時過ぎまでです。午前中は走り込み、昼からはハゴミントン、3時過ぎからバットスイング。徹底的に体をいじめ抜く。振れる力がないと飛ばせない。野球から来た人なので、まず体づくりからというスポーツの基本をよく分かっていたのでしょう。

 読書家で、とにかく幅広いジャンルの本を読んでいました。いろんな知識を頭に入れ込むというか。プロとしての自覚、見せ方への意識が根幹にあったのでしょう。だからコメントも面白かった。ゴルフ界のためにいろいろなものも残していただいた。本当に感謝しかないです。(プロゴルファー・羽川 豊)

 ◆羽川 豊(はがわ ゆたか)1957年12月8日、栃木・足利市生まれ。68歳。高1からゴルフを始める。専大時代に日本学生4連覇。80年にプロ転向し、翌年の日本オープンと日本シリーズを制するなどツアー通算5勝のレフティー。82年のマスターズで15位。

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