新星誕生!17歳女子高生・畑岡、アマで初めてメジャー制す


ホールアウトした畑岡奈紗は、ギャラリーとタッチしながらスコア提出に向かった

ホールアウトした畑岡奈紗は、ギャラリーとタッチしながらスコア提出に向かった

 ◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦・日本女子オープン最終日(2日、栃木・烏山城CC二の丸・三の丸C、6506ヤード、パー71)

 4打差5位から出たアマの畑岡奈紗(なさ、17)=茨城・ルネサンス高3年=が5バーディー、2ボギーの68で通算4アンダー。2位に1打差でアマとして初めてメジャーを制し、女子ゴルファー日本一に輝いた。男子の“レジェンド”中嶋常幸(61)のまな弟子で、中嶋も驚く練習の虫。米ツアー参戦と東京五輪優勝を夢見る17歳が、日本ゴルフ史にその名を刻んだ。女子アマがメジャー大会を勝つのは初。1打差2位は堀琴音(20)=東芝=。

 恐れはなかった。最終18番。約4メートルの下りのバーディートライ。強く打てば、どこまで転がるか分からない。17歳の畑岡はキャディーで母の博美さん(46)と入念にラインを読むと、自信を持ってボールを押し出した。「外すイメージはなかった」。ボールは勢いよくカップに沈んだ。アマで史上初となるメジャー制覇だ。歴史の扉をこじ開けた高校3年生は「本当にうれしい」。両親と抱擁を繰り返すと両目から涙があふれた。

 第3日は一時は首位に立つも、16番からの3連続ボギーで5位に後退。最終日も首位で迎えた16番で3パットでボギーをたたいた。悪夢の再現かと思われたが「深呼吸して」と母の助言で自分を取り戻した。18番の2打目の前にはジャンプを繰り返し重圧を振り切った。「ゆっくりスイングする意識を高めた」。1万超の観客が見守る中、自らを制御する力もあった。

 周囲が驚くほどの練習の虫だ。母が勤務する縁で、茨城県笠間市の宍戸ヒルズCCが練習拠点。同CCの草野通朗・総支配人(54)は「7時間も8時間もずっと練習している。あまりにも練習しすぎるから(中学時代から)ボール代を無料にしました」。師匠である中嶋も「もう十分と思う状態でも、まだ練習しているよ」と苦笑いするほどだ。

 第3日終了後も日暮れまでボールを転がした。全ては2年前の悔しさを晴らすためだ。2014年日本ジュニア選手権。2位に6打差をつけて最終日を迎えたが、同級生の勝みなみ(鹿児島高3年)に逆転負け。試合後は目を真っ赤にして泣きはらした。「そこから目の色が変わった」と父・仁一さん(51)。宍戸ヒルズCCの草野総支配人は「雨が降っても気付かない。普通じゃ考えられないと思うような感じでした」と振り返る。雪辱するために流した汗が、女子ゴルファー日本一決定戦で涙に変わった。

 奈紗の名前の由来は「NASA(米航空宇宙局)」で、父は「誰も成し遂げていないことをやってほしい」という願いを込めた。日本でプロになる権利は得たが、目標は米女子ツアーへの参戦。宮里藍に憧れる17歳は2週間後、同ツアーの来季出場権をかけた2次予選会に参戦する。「目標は全米女子オープンと東京五輪で優勝することです」。すい星のように誕生した新ヒロインが、その名の通り世界へと羽ばたいていく。(高橋 宏磁)

 畑岡 奈紗(はたおか・なさ)

 ▽生まれとサイズ 1999年1月13日、茨城・笠間市生まれ。158センチ、62キロ。

 ▽戦績 母の影響で11歳から本格的にゴルフを始め、13年関東ジュニア選手権2位。14年日本ジュニア女子15~17歳の部2位。15、16年世界ジュニア選手権優勝。15年国体女子優勝。16年日本女子アマ2位。同年全米女子アマ8強入り。

 ▽G党 小学5年時は近所の少年野球チームで二塁手。巨人・坂本勇人が好き。宝物は坂本のサイン入りヘッドカバーだが「もったいなくて使えない(笑い)」。

 ▽目標のプロ 中嶋常幸、宮里藍。

 ▽好きな芸能人 嵐の大野智。「(嵐ファンでプロゴルファーの)酒井美紀さんのように活躍して(テレビ番組の)VS嵐に出たい」

 ▽家族 父、母、妹・利安(りあん)さん(14)。

 ▽食べ物 好物は母特製のトマトスパゲティ。レバーとナスが嫌い。

 ▽趣味 「ゴルフですね。それ以外だと何かな。音楽鑑賞ですかね」

 ▽陸上部 岩間中時代は3年間陸上部。200メートルの茨城県大会で7位に入った経験もあるが「今は走りに自信はない」。

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