◆米男子プロゴルフツアー フェニックス・オープン最終日(5日、米アリゾナ州TPCスコッツデール)
男子ゴルフで世界ランク5位の松山英樹(24)=LEXUS=は昨年10月以降、個人戦9戦5勝と驚異的な強さで世界を驚かせている。米メディアからは「全盛期のウッズ並みの強さ」と評され、今季6戦目で獲得賞金は自身の年間最高額を更新。13年4月のプロ転向後、プレーオフ(PO)5戦5勝の勝負強さの裏側にプロゴルファーの羽川豊氏(59)=セントラルスポーツ=、東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(54)の証言を元に迫った。また14、15年大会で現地に訪れた高木恵記者が当時からの成長ぶりを「感じた」。
松山は、昨秋から“世界最強ゴルファー”の称号を得ている。10月以降の個人戦は9戦5勝。12月のヒーロー・ワールドチャレンジで優勝した際、大会ホストのタイガー・ウッズ(米国)から「来年以降長い間、倒さなければいけないトップ選手の一人になる」と絶賛された通りの活躍だ。
1982年のマスターズで15位となるなど「世界のレフティー」と呼ばれた羽川氏は「シンプソンのパットはプレーオフではショート気味だった。昨秋以降、松山君はアプローチとパットが向上して着実にパーを拾えるようになった。それが相当、重圧をかけていた」と分析。
自己最多4打差を逆転した最終日はスコアを伸ばすための条件となるティーショットの飛距離と精度が光った。平均飛距離は全体4位の328・7ヤードでフェアウェーキープ率は1位の85・7%。「最終日のバックナインで競ってくると普通は打ち急ぐが、土壇場でもゆったりとためのあるスイングで対応できていた。追う展開でパー5ではしっかりとフェアウェーに運んで伸ばした」と羽川氏は精神面の成長に目を見張った。
POは13年のプロ転向後5戦全勝。様々な芝や気候への対応など、米ツアー本格参戦4年の経験を結果に結びつけている。仙台市内の自宅でテレビ観戦した阿部監督は「学生時代から1打1打への集中力は図抜けていた。マッチプレーの試合もありましたし、負けず嫌いで2学年上の藤本佳則ともよく競っていました」と振り返る。
今季米ツアーの獲得賞金は日本男子&自己最多を早くも更新し、463万8498ドル(約5億2415万円)。ウッズのホスト大会優勝後、欧米メディアは松山に注目し、ウッズの全盛期と比較する記事も掲載された。00年に海外メジャー3勝を含む年間9勝を挙げたウッズ。憧れの存在に一歩ずつ近づいている。