藍、踏ん張った!圏外61位に後退も17番バーディーで予選突破


ホールアウト後、サイン会で笑顔を見せる宮里(右)

ホールアウト後、サイン会で笑顔を見せる宮里(右)

 ◆女子プロゴルフツアー サントリーレディス第2日(9日、兵庫・六甲国際CC=6538ヤード、パー72)

 今季限りでの現役引退を表明後、初の試合となった宮里藍(31)=サントリー=が、崖っ縁から予選を突破した。16番のボギーで一時は61位に後退。予選通過(60位以内)の圏外となったものの、17番のバーディーで通算イーブンパーの50位に浮上した。大会では11年以来6年ぶりに予選を突破。ホステスプロとしての役割を果たし、詰めかけたファンを安心させた。単独首位から出た辻梨恵(23)=大和証券=が通算10アンダーで首位を守った。

 藍が力強く右手を握りしめた。17番で約3メートルを沈めて会心のバーディー。通算1オーバーからイーブンパーにスコアを戻し、難関の最終18番もパーセーブした。一時は予選突破の圏外となる61位に後退しながら、土壇場で踏ん張った。「プレッシャーはあったけど、しっかり気持ちを切り替えられた」。この大会で6年ぶりに決勝ラウンドに進み、充実感をにじませた。

 16番でボギーをたたいた直後は通算1オーバー61位に後退。17番のティーグラウンドに立った時点で60位に浮上した。残り2ホールの結果次第では予選落ちの危機に立たされていたが、冷静だった。「リーダーズボードは見なかった。たぶん、(予選通過ラインが)イーブンパーだろうと思っていたので」。土壇場での勝負強さは健在。起死回生のバーディーにつなげた。

 集中力の維持は難しかったに違いない。国内最終戦になる可能性があるため、2日目としては大会史上最多の観衆、9405人が詰めかけた。ギャラリーは雄姿を記録に残そうと、コース内で禁止されている携帯電話やカメラでの撮影もお構いなし。7、8番ではスイングの途中でシャッター音が鳴った。ともに仕切り直したが、8番はボギー。誠実な藍らしく「見に来ようと思ってくれることがうれしい」と“マナー違反”の指摘は避けたが、一方で「9割ぐらいは、ゴルフを知らない方が見に来ているのかな?という感じもある」とも語った。

 過度な期待は心身の疲労にもなった。4番では3打目をバンカーに入れて痛恨のダブルボギー。ショットは本調子には遠い。コーチで父の優さん(71)は「初日終了後は疲れていて(外に)ご飯を食べに行かなかった」と気遣った。車で帰る途中に軽食を買い、宿舎で静養に努めた。重なる逆境に耐えて予選を突破した娘を、父は「よくやった」とねぎらった。

 首位とは10打差。引退会見で「勝って終わりたい」と目標に掲げた今季の優勝へ、道のりは険しさを増した。「私としてはこのままでは終われない。あと2日、調子を上げて終えられれば」。世界で戦い、磨いた強じんな精神力を武器に猛チャージを狙う。(高橋 宏磁)

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