女子プロ70人が連名で中止3大会の開催継続を直訴…放映権問題で


小林浩美会長(LPGAアワードにて)

小林浩美会長(LPGAアワードにて)

 日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が「来季開催中止」と発表した3大会について、国内女子プロゴルフツアーのトップ選手約70人が連名で、開催継続に向けた極めて異例の「お願い状」を放送局に対して提出したことが26日、分かった。LPGA側が強硬に主張してきたテレビ放映権帰属を巡り、日本テレビ系の3大会存続に向けて行動を開始。熊本、愛知、宮城の開催地では開催を望む声が根強く、LPGA側との交渉再開を予定。大会存続の可能性も出てきた。

 歴史と愛着のある大会という職場を突然奪われる形となった女子プロたちが一致団結し、異例の行動に打って出た。25日付で「お願い状」が届いたのは「KKT杯バンテリンレディス(熊本・熊本空港CC)」、「中京テレビ・ブリヂストンレディス(愛知・中京GC石野C)」、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(宮城・利府GC)」の3大会主催のいずれも日テレ系放送局だ。

 「ミヤギテレビ―」は11年の東日本大震災後、義援金を送り毎年、宮城県立こども病院を慰問するなど選手と密接な関係を築いてきた。宮城テレビ関係者は「我々としては大会をやめるとは一度も言っていない。一方的に『中止』と言われて困惑しており、遺憾です。東北唯一の大会で、『東北の方々に元気を』と選手にはいろいろとご協力をいただいてきたので、可能な限りその声に応えたい」と力を込めた。

 宮城県の村井嘉浩知事(58)も25日の会見で「大変残念。ぜひ継続していただきたい」と今後の交渉継続を要望していた。さらに、開催地周辺からも多くの継続を望む声が寄せられ、利府町長からは大会主催の同局に、大会継続の要望書も提出されたという。宮城テレビは26日、LPGAに対して「もう一度、開催を前提とした協議を申し入れた」という。

 「中京テレビ―」は熱いゴルフファンの多い愛知開催。関係者は「選手の皆さんの熱い思いを、非常に重く受け止めています。放映権の協議はありますが、毎年約2万人の観客にも来ていただいており、『選手ファースト、ギャラリーファースト』で考えたい」と明かした。

 “女子プロ王国”で「KKT杯―」を主催する熊本県民テレビ関係者は「『(16年の)熊本地震を経験した選手も多く、復興を願い、ファンの方にプレーを見せたい』という文面でした。地元の協会からも続けてほしいという声は強い」と語る。ともに近日中にLPGAに協議再開を申し入れる予定という。選手たちの熱い声がLPGAを動かすか。

 ◆放映権問題の主な経緯

 ▽17年8月24日 トーナメント主催者会議で、LPGAが同協会に放映権を帰属させる考えを発表。

 ▽18年1、3、5月 主催者説明会を実施。LPGAの方針を一方的に説明し、質疑応答は行われず。

 ▽7月3日 LPGAはツアー開催規定の変更を通達。放映権の帰属を始め、大会ロゴや入場券販売などの主催者権利をLPGAの承認事項とするなど。

 ▽8月20日 19年のトーナメント開催協約書提出期限に、25大会以上がLPGAの説明不十分として「(協議継続等の)条件付き申し込み」。個別交渉の期限を9月25日に延期する。

 ▽9月25日 条件付きで開催申し込みした主催者に対し「覚書」締結が提案される。LPGAへの放映権帰属が前提とされ、ネット配信のLPGA独占など多くの主催者は協議継続を回答。

 ▽11月28日 ツアー開催の規定変更、放映権帰属は合意に至らず。その後、LPGAから条件付き開催申し込み主催者へ文書が送付された。12月13日17時までに協約書および覚書を再提出すること。できない場合は開催意思がないものとし、19年の日程には組み込まないと通告。

 ▽12月18日 LPGAが来季日程発表。放映権で合意に至らなかった日テレ系3大会が中止となり1増3減の36大会。小林会長は放映権問題に初言及。

 ▽同19日 比嘉真美子プレーヤーズ委員長、有村智恵がLPGA理事から「(放映権絡みの報道は)全部ウソだ」と言われていたことを告白。不信感をあらわにし、約50選手から3大会継続を求める声が上がったことを打ち明けた。

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