◆男子プロゴルフツアー 東建ホームメイトカップ第3日(20日、三重・東建多度CC名古屋)
2014年賞金王の小田孔明(40)=プレナス=が平成最後の王者に近づいた。3バーディー、3ボギーの71、通算10アンダーでD・オー(米国)とともに首位を守った。前週のマスターズで05年以来14年ぶり大会5勝目を挙げたタイガー・ウッズ(米国)を手本に、2009&10年大会覇者が自らの強みを「飛距離」から「経験」に変え、5シーズンぶりの復活勝を狙う。
難しいピンポジションの一日をパープレーで終えた小田は18番グリーンでのヒーローインタビューで「疲れました」と息をついた。司会者から「ウッズのような復活優勝が期待されます」とマイクを向けられ、「僕が勝ったらいい話になるけど、負けたら何も書かれない(笑い)」とおどけた後、「そりゃ狙ってますよ!」と大復活を宣言した。
09、10年大会はいずれもプレーオフを制し、開幕戦を連覇した。当時のゴルフを「ドライバーの飛距離で圧倒できたから、アイアンも短い番手でピンを狙えた」と振り返る。だが、昨年は14年賞金王獲得時の平均飛距離から12ヤードほど落ちる約278ヤード(70位)で賞金ランクも44位と低迷。「今の若手は飛ぶから。飛距離が落ちると景色が違う、と5年くらい感じている」と苦笑した。
そんな中、大会前のマスターズに触発された。「タイガーにはなれないけど、モリナリを目指そうと思う。自分に合ったゴルフをするしかないというのが徐々に分かってきた」。ウッズに敗れ5位となったが、昨年の全英オープン覇者で堅実なプレーが持ち味である36歳のイタリア人を理想型とした。
21日の最終日最終組を、ともに通算1勝のオー、出水田と回る同8勝の小田は「勝ち方(を知っている点)では僕の方が上」と言い切った。その上で「5アンダー(66)を出したい」と伸ばし合いの展開を見据えた。偶然にもウッズはオーガスタでの開幕前、「かつては飛距離だったが、今は適応力。頭の中に“図書館”がある」と語っていた。
パワーから経験を生かしたスタイルへ―。「勝ったら夢が広がりますね」。14年10月ブリヂストンオープン以来の優勝は目前。平成最後のチャンピオンの称号は渡さない。(岩原 正幸)
◆小田 孔明(おだ・こうめい)1978年6月7日、福岡・田川市生まれ。40歳。ゴルフの師、父・憲翁(のりお)さんが三国志の諸葛孔明から名付けた。千葉・東京学館浦安高卒業後、2000年プロ転向。08年カシオワールドオープンで初優勝。通算8勝。昨年は12年ぶりに最終戦・日本シリーズJTカップ(報知新聞社主催)出場を逃す。176センチ、85キロ。家族は妻と1男1女。