渋野日向子（ロイター）
◆米女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 ＡＩＧ全英女子オープン 第１日（２０日午前６時３０分スタート、ロイヤルトルーンＧＣ＝６６３２ヤード、パー７１、賞金総額４５０万ドル（約４億７７００万円）、優勝６７万５０００ドル（約７１５５万円）、参加１４４人）
強風の中、新型コロナウイルス感染対策で無観客で開幕した。日本人初の連覇＆メジャー２勝目を狙う渋野日向子（２１）＝サントリー＝は３バーディー、５ボギー、１トリプルボギーの５オーバー、７６で初日を終えた。
ホールアウト後、バッグから取り出した新型コロナ予防のマスクを装着してアテストへ。その後、オンライン会見に出席した。日本人初のメジャー連覇挑戦の初日を「４番でトリプルボギーをたたいてから、ちょっと今日は怖いなと思ったが、後半につれてティーショットが良くなってきたのでそこは良かったと思います。向かい風の中でもリズムを意識して振ることを気をつけてたら、後半のイン（１０番以降）ではほぼフェアウェーをキープしていた。風が吹いているとやっぱり振れないので、リズムだけ気をつけて振っていたのが良かったのかな」と笑顔で振り返った。
前日までの練習日には吹かなかった、プレーでは「経験したことがない」台風並みのリンクス特有の強風に、序盤は恐怖していた。「スタート前はすごく怖かった。風の予測が全くつかなくて。不安のままスタートしたら案の定、ボギー、ボギー、トリプルで（笑）。４ホールで５オーバーでした。残念でしたけど、この強い風だと、（精神的に）切れたら終わりだと思うので、その気持ちにはならないように気をつけていました」と粘り強く戦った心境を打ち明けた。
注目の１番の第１打は、ドライバーで向かい風の中、フェアウェー左のラフへ。アイアンでの第２打はグリーン右手前にショート。３打目のバンカー越えのアプローチをピン下２メートルへ。しかし、４打目のパーパットはカップふちで左にけられてボギースタートとなった。
続く３８１ヤードの２番パー４。第１打は左のポットバンカーそばのフェアウェーへ。第２打はバンカーふちに両足のスタンスがかかった状態で、ユーティリティーを短く持って打ってフェアウェーを転がした。続くアイアンでの第３打はピンそば８メートルに乗るも、そこから２パットで連続ボギーとなった。
５１１ヤードの４番パー５では、リンクス特有のポットバンカーの洗礼を浴びた。フェアウェーからの３ウッドでの第２打が転がって、左のポットバンカーへ。深く小さいバンカーに大苦戦した。第３打はバンカーの土手に当たってバンカー内へ戻った。クラブを変えて打った第４打も、同じように土手に当たってバンカーへ。５打目でようやくフェアウェーへ脱出。６打目でピン左５メートルへ運び、７打目のパットは右に外れて痛恨のトリプルボギーを喫した。
「久しぶりに（バンカー内で）ボールが２回返ってきた時に、初心者に戻ったなと思いました」と独特のしぶこ節で振り返った。
それでも６番、７番は雨の中でパーをセーブ。続く「ポステージ・スタンプ（郵便切手）」の愛称を持つコース名物の１２３ヤードの８番パー３で見せ場を作った。５２度ウェッジでの第１打をバックスピンを効かせてピン右１・２メートルへ。「左からの風に対して、怖がらずにイメージした通りの球がいってくれた」と反撃ののろしとなる初バーディーを奪取。テレビカメラに向かって、笑顔でパターを手におどける表情を見せた。「８番で取れて流れが変わったのはありましたね」と前半９ホールを５オーバーの４１で折り返した。
追い風のホールが増えた後半は、安定したティーショットを軸に昨年大会覇者らしいプレーを随所に見せた。パーオンを逃した１２番、１７番はボギーとしたが、１５番で８メートルを沈めてバーディー。最終１８番は２８０ヤード近いビッグドライブから、第２打をピン上２・５メートルへつけてバーディーフィニッシュ。「後半、（スコアを）落とさなかったのは個人的にはうれしかった」と胸を張った。
この日は強風の影響で、アンダーパーはわずか数人。ホールアウトした中では、ソフィア・ポポフ（ドイツ）が１アンダーで単独首位。２１日の第２日は風雨ともに激しい天気予報となっている。
２１日の第２日は午前８時９分（日本時間１６時９分）スタート予定。林間コースで通算１８アンダーで制した昨年とは違い、海沿いのリンクスで我慢比べの様相となった。「明日はティーショットは今日のように、追い風と向かい風と両方吹くと、アイアンが左右にぶれちゃうのでそこを気をつけたい」と渋野。おにぎりやお菓子もほおばりながら、“スマイル・シンデレラ”は連覇への最初の関門に挑む。