石川遼、国内初戦で大会自己ワースト3オーバー発進…新打法完成へ次戦全米へ「1打でも収穫を」


17番、第2打目を打った後にクラブから手を離す石川遼(代表撮影)

17番、第2打目を打った後にクラブから手を離す石川遼(代表撮影)

 ◆男子プロゴルフツアー今季第2戦 フジサンケイクラシック 第1日(3日、富士桜CC=7566ヤード、パー71、賞金総額1億1000万円、優勝2200万円、参加105人)

 約8か月ぶりの今季第2戦で国内での初戦が始まった。新型コロナウイルス感染予防対策のために無観客で開かれ、通算17勝の石川遼(28)=カシオ=は2バーディー、1ボギー、2ダブルボギーの3オーバー、74の暫定72位と出遅れた。3月から取り組む「トップの浅い」コンパクトな新スイングを披露したが、大会自身初の2ダボなどで、大会自己ワーストスコアでの発進となった。雷雲接近のために1時間22分の中断もあり、日没サスペンデッドとなった。伊藤有志(25)=アイシグリーンシステム=が5アンダーで単独首位。

 国内男子で初めて大会を通して無観客開催での初日は、石川にとってホロ苦いものとなった。過去8度出場で2勝を含む5度のトップ10入り。相性抜群のコースでまさかの出遅れだ。天候がめまぐるしく変わる中、大会通算28ラウンド目で自己ワーストの74。「前半は本当にバタバタで、最悪の一歩手前のゴルフだった。狙いに対する欲が強く出てしまった…」と、振り返った。

 出だしの10番で、第2打をピン上1メートルにつけて幸先良く“バーディー開幕”を遂げた。だが、11番の3ウッドでの第1打は右に曲がってロストボールとなり、4オン2パットのダブルボギー。17番ではフェアウェーから3ウッドの第2打が左OBで5オン2パットのダボ。この大会では初の1日2ダボを喫した。

 「11番は、左ラフに入ると2打目で(グリーンを)狙いにくいので、最後につかまるのを嫌がって右に逃がしてしまった。17番の第2打も距離を調整しにスライスをかけにいったら逆球が出た。あの2打は欲が出てしまった。まだまだ、良い自分と悪い自分のはざまに今はいるので仕方ない」と唇をかんだ。

 実はスイング改造の真っただ中だ。3月、自ら興味を持った統計データの専門家・田中剛氏(41)に連絡してコーチ契約。30代を前に持病の腰痛も考慮して体への負荷が少なく、安定性の高い新スイング構築に着手した。今大会は同コーチがキャディーを務めるが、「取り組んでいることが試合でどこまでできるのか。一番近くで見てもらう」と、石川は理由を説明した。

 ウッドもアイアンも従来よりも浅いトップの位置から、力感なくショットを放つ。「この6か月で取り組んでいるのはトップの形。浅めにし、力感なく振っても飛距離は落ちていない。僕は今まで、上半身と下半身のねじれは使わずに高いトップから下へたたいて飛ばしていたが、今はよりいかにヘッドを速く効率よく動かすかというイメージで振っている」と明かした。

 8月中旬に全米プロ選手権から帰国後、2週間の自主隔離があった。先週までショット練習はできず、調整不足は否めない。この日は昼過ぎにホールアウトすると、午後4時過ぎまで練習場で懸命に打ち続けた。「前向きにあしたも頑張っていきたいと思うので、全力で頑張ります。1打でも収穫を得られるように」。次戦の17日開幕の全米オープン(ウィングフットGC)にもつながる1打を積み重ね、逆襲に転じる。(榎本 友一)

 ◆遼に聞く

 ―国内開幕初日は?

 「緊張感からか、プラン通りにできなくて、ちょっと悔しいラウンドになってしまいましたね」

 ―ツアー初の大会通じての無観客試合。11番のロストボールも影響が出た?

 「改めて、歓声のありがたみを感じましたね。特に自分はよくラフや林にいくので、簡単にはボールが見つからない。ラフに行ったボールを誰も見ていないということが結構あるので。怖いな、と思いましたね」

 ―新スイングへの手応え。

 「良い球もあって、良い方向にはいっているかなと思います」

 ―明日への課題は。

 「ショートアイアンの距離感が悪かった分、チャンスが少なくて、バーディーが2つしかなかったのも反省点ではありますね」

 ―グリーン上は?

 「ちょっと(ラインを)読めていなかったところが多くて。真っすぐかちょっとフックと読んだのが、スライスしちゃったりとか。読みがちょっと外れ過ぎていましたね」

最新のカテゴリー記事