◆女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス第1日(30日、埼玉・武蔵丘GC)
6月以来、約4か月ぶりの国内ツアー復帰戦となった渋野日向子(21)=サントリー=が、8番パー3でツアー2度目のホールインワンを達成した。無観客の静寂の中、「音で分かった。不思議な感じ」とコロナ禍での異例の状況下のエースだった。1イーグル、1バーディー、3ボギーと出入りの激しいラウンドでイーブンパー、72で5打差32位発進。勝みなみ(22)=明治安田生命=が67で単独首位に立った。
普段ならドッと湧き起こるはずの歓声がない。実測148ヤード、追い風の中で迎えた打ち下ろしの前半8番パー3だ。渋野が8アイアンを振り抜くと2・5メートル手前に落ちたボールは転がってカップイン。キャディーの「入ったんじゃない?」の声より先に「コロン」という音を聞いて、渋野はエースを確信した。
「え、えっ?」と驚きの表情を見せながら、同組選手に拍手で祝福されると、キャディーと肘タッチで喜んだ。「奥に行ってもいいと思って打った。音でホールインワンが分かるのって、なかなかない。無観客だからこそなのかなと、すごく不思議に感じた」と、冷静に振り返った。ティーの上にボールを置かず、「地ベタから打った」と説明。直前の海外遠征で試していたというワザだった。4番パー3ではティーアップしたが、グリーンをショートしたことから変更していた。
ツアー2度目、ゴルフ人生ではアマチュア時代を含め通算5度目のエース。プライベートでは達成しておらず、全て試合で記録した。過去4度は全て予選落ちしているそうで、「いいことないですね(笑い)。さすがに今回は予選通過したい」と、気合を入れた。
前半を3アンダーの1差2位で折り返したが、後半は暗転。11、17番ともに1メートルを外しての3パットなどで3ボギーを喫し、イーブンパーの5打差32位。「“持ってる”と言いたいけど終わってみての内容(が大事)ですよね。これが自分の実力だと思い知らされた」と反省した。
126日ぶりの国内の試合は、「18ホール、ほぼ緊張していた。(11番で)外した時は手が震えていた」とも明かした。「しっかり修正して不安のない気持ちで臨めるように」。ミラクルプレーよりも後半のふがいない内容がよほど悔しかったのか、巻き返しへパッティンググリーンで球を転がし続けた。(岩原 正幸)
◆ホールインワン
▼定義 1打目でカップにボールを入れることで、エースとも呼ばれる。18ホール(H)のコースでパー3が6H以下が正式な条件。
▼通算回数 日本女子プロゴルフ協会によると、今回の渋野の達成は通算547回目。1988年のツアー制施行以前の分も含まれる。
▼確率 アマチュアの中級から上級者は8000分の1~1万4000分の1、ツアープロは3000分の1の確率と言われている。
▼保険 多くのアマにとって達成時に記念品を贈るなどの習慣が日本にはある。費用の負担を想定したものが「ホールインワン保険」。
◆渋野のプロ初ホールインワン 単年登録プロとしてツアーデビュー戦となった18年6月アース・モンダミンカップ初日9番パー3で達成。その時は特別賞金600万円を獲得した。今回は特別協賛の三菱電機から第2R(31日)スタート前に10万円が贈呈される。また日本女子プロゴルフ協会によると、今回の渋野の達成は1988年のツアー制施行以前の分も含めて通算547回目。