石川遼、4差6位 史上6人目偉業へ17勝中6勝の最終日鬼チャージ


4番、ティーショットを放つ石川遼。最終日に逆転優勝を狙う(カメラ・矢口 亨)

4番、ティーショットを放つ石川遼。最終日に逆転優勝を狙う(カメラ・矢口 亨)

 ◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第3日(5日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)

 大会史上6人目の2連覇へ5打差7位で出た石川遼(29)=カシオ=は4バーディー、4ボギーの70で回り通算3アンダー。極寒で小雨の降る悪コンディションの中、後半からショットに苦しみながらもパープレーにまとめ、首位と4打差6位の優勝圏内に残った。最終日の逆転は自身17勝中6回。「逆転の遼」が年内最終戦でドラマを呼ぶ。

 今大会で初めてニット帽をかぶった石川は、5打差を追って出た。2番で1メートルにつけてバーディーを先行させると、5番で迎えた2・5メートルのチャンス。寒さで体が硬くならないよう、直前に両腕をぐるぐると回すと、迷わず打ったバーディーパットを沈めた。「序盤はうまくいっていた」というが、勝負は先だとばかりに、一瞬たりとも表情を変えなかった。

 気温6・0度で終始小雨が降り続く難条件。6番までに3つ伸ばしたが、いばらの道が待ち受けた。ショットがブレ始めた9、10番で連続ボギー。「雨で寒くて、球を真っすぐ飛ばしたいという欲がスイングを乱した。力みもあった。自然に逆らう感じで、かなり苦しかった」。13、14番もボギーと耐えきれず「前半の貯金を使い切ってしまった」。第1打が左に行くシーンが目立ち、フェアウェーキープ率35・71%(全体26位)と苦戦した。

 しかし、崩れない。17番パー5で15メートルに2オンさせ、2パットのバーディーで負の流れを断ち切った。最終18番、ピン下から2メートル強のパーパットを沈めるとホッとした表情を浮かべた。「鼻水が止まらなかった」と苦笑しつつ、「18番はいい上がりだった。明日は4日間の中で一番いいスコアを目指したい」と、すぐに気持ちを切り替えた。その後、9アンダーで首位を快走していた小斉平優和(22)が終盤2ホールで3つ落とし、首位とは4打差6位。「3日目終わって、どの位置にいるかが大事」と話していた通り、粘ったかいあって優勝戦線に踏みとどまった。

 通算17勝中、逆転は6回。過去には6打差の逆転劇もある。上位は混戦模様の中、「11番までにいくつで回るかがキーになる。(2打目を)もう少し短いアイアンでピンを狙うマネジメントをして、スコアを伸ばせる態勢にしたい」と攻め抜くことを誓った。

 昨年の王者は今大会前、「また新たな自分として来ているが、グリーンの読みや風は去年までの経験を生かしたい」と、過去2勝で得た経験値がプラスに働くと強調した。最終日は18年に65、19年に66を出し、いずれもプレーオフに残っており、勝負勘を発揮する絶好機となる。

 「(6日は)天候も良くなって、各選手スコアを伸ばしてくると思う。その中で自分もさらに伸ばせるように」。史上6人目の連覇を見据え、プレー後は日の落ちた練習場へ向かい、逆転へ執念をにじませた。(岩原 正幸)

 ◆石川の最終日逆転優勝(日本ツアー通算17勝中6勝)

 〈1〉07年マンシングウェアKSBカップ(アマチュア時代) 15歳でツアー初出場した試合で、4差9位から最終ラウンドを66で回り世界主要ツアー最年少優勝(当時)。

 〈2〉08年マイナビABC選手権 3差3位から69で回り、プロ転向後の初優勝。

 〈3〉10年中日クラウンズ 6差18位から世界最少スコア(当時)の58をたたき出し逆転。

 〈4〉14年長嶋茂雄招待セガサミーカップ 2差3位から67で回り、小田孔明とのプレーオフを制する。

 〈5〉19年日本プロ選手権 4差6位から66で回り、黄重坤(韓国)とのプレーオフを劇的イーグルで制し、3年ぶりツアー優勝。

 〈6〉19年日本シリーズJTカップ 2差5位から7バーディー、3ボギーの66で回り、ケネディ(豪州)をプレーオフで下す。

 ◆3度目の優勝 大会最多は尾崎将司の7度で、2位は青木功の4度。石川が勝てば、杉原輝雄、尾崎直道、藤田寛之、宮本勝昌と並ぶ歴代3位タイとなる。

最新のカテゴリー記事