2度目の緊急事態宣言が3月21日をもって解除された。各スポーツ界では新型コロナウイルスの影響で来日できていない外国籍選手の新規入国について、プロ野球、Jリーグなどでスポーツの公益性などを考慮し、特例での入国に向け準備が進められている。
3月4日のダイキンオーキッドレディスから今年のツアーが始まった女子ゴルフ、4月15日の東建ホームメイトカップが初戦となる男子ゴルフはどのような状況なのだろうか。
女子に関しては、イ・ボミ、ペ・ソンウらが初戦から出場する。申ジエ、キム・ハヌル(いずれも韓国)といった実力者も今週のアクサレディスからツアーに出場する。一方、在留資格が切れて来日できていない20―21季の予選会ランク25位のアン・シネ(韓国)、同1位のフェービー・ヤオ(台湾)ら数人の選手は入国の見通しが立たないのが現状だ。アン・シネはトレーニング先の米国から韓国に戻り、調整を続けているという。
ツアー関係者によれば、スポーツ庁は各競技団体として何らかの働きかけがなければ特例に向けて動き出すのは難しいとの見方を示しているという。4月に初戦を迎える男子に目を向けると、新規入国となる選手も一定数いるため、日本ゴルフツアー機構(JGTO)がリスト提出など働きかけを行っている。JGTOは「外国人選手の入国許可や隔離期間の短縮、撤廃も含め、スポーツ庁にお願いしているが、なかなか思うように進まない状況です」としている。
女子の場合、既にツアーは始まっており、出場優先順を組み直すリランキングは5月の国内メジャー、ワールドレディスサロンパスカップまで。出場資格はあるが、来日がかなわないアン・シネやフェービー・ヤオのようなケースに、選手の関係者は「日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が対応してくれないと、コロナの状況によってはこのまま5月を過ぎて出場権を失ってしまう」と危惧する。JLPGAは関係省庁への働きかけについて「トーナメント事業部で検討している段階です」と話すにとどめた。
プロ野球、Jリーグでは現状来日できていないのは、新外国人選手の場合がほとんどのため、ゴルフでも「昨年のうちに一度でも来日して、在留資格取得の手続きをしておけばこのような事態は避けられたのでは」といった指摘もあるかもしれない。だが、来日が可能だった昨年秋の段階で年内の残りは数試合。母国と日本の移動時に発生する計4週間の隔離や経費面を考慮して見送った経緯もあり、個人の判断について議論しても仕方ない面もある。
チーム競技、個人競技の違いはあるが、ファンが期待するのは開かれたフィールドでのハイレベルな争いだろう。日本ツアーに出場したくてもできない「会員」がいる中、これからどういう動きがなされていくのか注目したい。(ゴルフ担当・岩原 正幸)