トーマスは5年連続右肩上がりのマスターズでいよいよ初優勝に照準 「今年は何かいいことが起きる」


 2017年全米プロ選手権王者のジャスティン・トーマス(27)=米国=が4月8日開幕の男子プロゴルフのメジャー、マスターズ(米ジョージア州オーガスタナショナルGC)で、自身2つ目のメジャータイトル獲得に照準を絞っている。

 元世界ランク1位のゴルフエリートも、今年は苦難の連続だった。1月の大会では、プレー中に同性愛蔑視の不適切な発言をし、ウェア契約を解除された。2月には元プロゴルファーの祖父・ポールさんが他界。さらに、親友のタイガー・ウッズ(45)=米国=が交通事故で重傷を負った。

 それでも3月の“第5のメジャー”と呼ばれる、プレーヤーズ選手権の最終日に3打差3位から出て68で回って逆転優勝。優勝賞金270万ドル(約2億9160万円)のビッグタイトルをつかんだ。4大メジャー、世界選手権シリーズ、米ツアーの年間王者、プレーヤーズ選手権を制したのはウッズ、ロリー・マキロイ(英国)、ヘンリック・ステンソン(スウェーデン)に続く史上4人目の快挙だった。

 「今年は僕にとってかなり悪い年であり、多くの悪いことが起きたが、それは人生であり、その一部のこと。僕はチームや家族の皆に、今年は何か良いことが起きる準備もできている、と言い続けてきた。この優勝も、良いことの1つと言えるでしょう」と優勝後、声を詰まらせた。

 名前のイニシャルから「JT」の愛称を持つ。身長178センチと小柄ながら、プロゴルファーの祖父と父の英才教育を受け、平均300ヤード越えの飛距離を誇る。鋭いショットで強気にピンを攻め、正確なパットでバーディーを量産するプレースタイルだ。2014年から世界最高峰の米ツアーで8年連続優勝中で、世界ランク2位で東京五輪米国代表の圏内にもいる。「もし出場権を獲得できれば人生最高の栄誉」と出場に前向きな姿勢も示している。

 マスターズでは着実にオーガスタでの経験を積み重ねて毎年、右肩上がりで成績も上げてきた。初出場だった16年大会は39位、17年は22位。18年大会直前には、ジュニア時代から憧れるウッズとオーガスタで9ホールの練習ラウンドを回った。マスターズ4勝(当時)のウッズに積極的に質問をし「多くの経験を学んだ」という。そこから18年17位、19年12位。昨年11月のマスターズでは、第2ラウンドで首位に立つなど、通算12アンダーで大会自己最高の4位に入った。6年連続6度目の出場となる今大会。その目は、優勝者に与えられるグリーンジャケットだけを見据えている。

 ◆ジャスティン・トーマス 1993年4月29日、米ケンタッキー州生まれ。27歳。プロゴルファーの祖父、父の影響でゴルフを始める。アマチュアで活躍後、アラバマ大を経て2013年プロ転向。米ツアーでは16年10月のCIMBクラシックで松山を抑えて優勝、全米プロでメジャー初Vなど17年は5勝。年間総合王者にも輝き、1000万ドルのボーナスも手にした。米ツアー通算14勝。178センチ、73キロ。

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