ゴルフのオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権(3月31日~4月3日)で、日本勢初制覇を成し遂げた梶谷翼(17)=兵庫・滝川二高3年=が20日、地元の岡山県内からオンライン会見を開いた。
いつも通りクールな表情で会見に臨んだ梶谷は「(優勝の)瞬間はうれしかったですね。なんであふれたかは分からないけど、涙が出ていました」と振り返った。ただ、2週間以上たった現在の心境を問うと「優勝したという気持ちはあんまりない。もっとやらないといけないなと思っています」と先を見据えている。
3日の決勝ラウンド(R)は、これまで男子メジャーのマスターズの舞台、オーガスタ・ナショナルGCで行われた。最終日の18ホールを終えて、通算1オーバーで首位に並んだエミリア・ミリアッチョ(米国)とのプレーオフ(PO)に突入。「POは(このコースを)18ホール以上回れるので『やったー!』という感じでした。緊張もあったけど、みんなよりも多く回れるのがラッキーという感じでした」。憧れのコースを全力で楽しんだ梶谷が、POを1ホール目で制して日本人として初めてオーガスタ・ナショナルGCで優勝トロフィーを掲げた。
優勝後はタイガー・ウッズ(米国)や同郷の渋野日向子(22)らからも祝福のメッセージがあり、大きな反響があった。「タイガー・ウッズ選手から来たのはびっくりしました。うれしかったですね。渋野さんはアマチュアの頃から仲良くさせてもらっていて、いつの間にか遠い存在になっていたので、自分が同じ舞台に立てるように、追いつけるように頑張りたいと思います」と感謝した。
梶谷が優勝した翌週のマスターズでは松山英樹(29)がアジア人として初めて優勝者が手にするグリーン・ジャケットに袖を通した。梶谷は帰国後、自主隔離していた兵庫・神戸市内で時差ボケに悩まされながらも松山の快挙をテレビで観戦。「時差ボケだったので、いい感じでマスターズを見ることができました(笑い)。自分が優勝したことはそんなに意識していなかったけど、松山さんが優勝してすごいなと思いました」と感激した。
今回のオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権優勝により、梶谷の考えに変化があった。将来について大会前までは秋に控える日本でのプロテスト合格の目標一本で考えていたが、「将来的に米国に行くことは前から思っていたけど、そのタイミングをいつにしようかと悩んでいます。海外に行って大学に行くのもあるし、(米ツアーの)QT(予選会)を受けることなどいろいろ選択肢が増えたと思う。海外に行きたいという志向が強まりました」と心境の変化を明かした。
今大会優勝で6月の全米女子オープン、8月のAIG全英女子オープンとメジャー切符も手に入れている。17歳の新鋭は「世界で活躍できるプロゴルファーになりたい。USLPGA(米ツアー)ランキングでも1位を取りたいと思っています」と大きな夢を掲げた。
◆梶谷 翼(かじたに・つばさ)2003年9月12日、岡山県生まれ。17歳。7歳の時に両親の影響でゴルフを始める。15、16年世界ジュニア選手権で連覇。19年に兵庫・滝川二高に入学し、1年時の日本女子オープン9位でローアマを獲得。同年、日本ジュニア選手権優勝、オーストラリア女子アマ選手権2位。家族は両親と弟。160センチ、62キロ。