ゴルフのオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権(米ジョージア州)で日本勢初優勝を成し遂げた梶谷翼(17)=兵庫・滝川二高3年=が20日、帰国後の新型コロナウイルス対策の隔離期間を終えて、地元・岡山県内からオンライン会見を行った。海外でのプレーに意欲が強まったことを明かし、今後の進路については秋に予定する日本のプロテストを受けずに海外挑戦する計画も示した。
オーガスタナショナルGCで優勝トロフィーを掲げた梶谷の視線は、世界に移っていた。会見で「うれしかったです」と涙の優勝を振り返るとともに「(秋に予定する)プロテストを受けて、日本でやってから海外に行くと考えていたけど、優勝したことで海外に行きたい志向が強まった。他の選択肢も増えて気持ちが揺らいでる」と心境の変化を明かした。
大会前までは、今後の目標は「(日本で)プロテストを通過」と決めていた。だが、今回の優勝で視野が広がった。今後の進路について日本のプロテスト受験以外に、米国の大学に通いながら米ツアー予選会を受験することや、1~2年の“ゴルフ修行”に行くことなどが候補にあるという。「日本より米国で戦いたい。自分はそっちの方が合っていると思う。海外に行くタイミングをいつにするか悩んでいる」と説明した。
大会を終えて5日に帰国。高校のある神戸市で自主隔離中、男子メジャーのマスターズをテレビ観戦した。松山英樹(29)のアジア人として大会初制覇の快挙に「松山さんが優勝してすごい」と感激。同じコースでプレーしたからこそ「自分も男子だったいいのに」と、迫力あるプレーがうらやましかった。
小学3年だった2012年、キャロウェイ世界ジュニア選手権(米国)で優勝して初めて世界を意識した。今大会の結果により6月の全米女子オープン、8月のAIG全英女子オープンと初のメジャー切符を手に入れ、同郷の渋野日向子(22)と同じ舞台に立つ。「渋野さんに追いつけるように。世界で活躍するプロになってランキングでも1位を取りたい」と大きな夢を描いた。(宮下 京香)
◆日本ツアーを経ずに米ツアー参戦した選手 12月の翌年の米ツアー出場権を懸けた予選会を突破するか、出場権を持つメジャー大会で優勝すれば参戦できる。宮里美香は沖縄・興南高を卒業後の08年に予選会を突破し、09年から参戦。畑岡奈紗は16年10月にアマで初めて日本女子オープンを制しプロ転向。同年のツアー予選会を通り17年から出場。山口すず夏は東京・共立女二高3年時の18年に同予選会を突破。同年末にプロ転向し19年から参戦。梶谷は4人目を目指す。
◆梶谷 翼(かじたに・つばさ)2003年9月12日、岡山県生まれ。17歳。両親の影響で7歳からゴルフを始める。15、16年世界ジュニア選手権を連覇。兵庫・滝川二高1年の19年、日本女子オープン9位でローアマを獲得。同年、日本ジュニア選手権優勝、オーストラリア女子アマ選手権2位。憧れはロリー・マキロイ(英国)。家族は両親と弟。160センチ、62キロ。