「すべてのボールがディボット跡に埋まっているように見えた」高山忠洋が目の難病を乗り越えて首位


選手会主催の新大会で午前組トップでホールアウトした高山忠洋

選手会主催の新大会で午前組トップでホールアウトした高山忠洋

◆男子プロゴルフツアージャパンプレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品第1日(6日、栃木・西那須野CC=7036ヤード、パー72)

 選手会が主催する新規大会が開幕。午前組が終了し、高山忠洋(43)=スターツ=が7バーディー、ボギーなしの7アンダー、65で回って首位。1打差の2位にベテランの手嶋多一(52)=ミズノ=が続く。今季賞金ランク10位の石川遼(29)=カシオ=は4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの1アンダー、71だった。賞金ランクトップの金谷拓実(22)=フリー=、先週の中日クラウンズでツアー6年ぶりの3勝目を挙げた岩田寛(40)=フリー=は午後組でプレー中。岩田は6ホールを消化して1アンダー、金谷は7ホールを消化してイーブンパーとしている。

 ツアー通算5勝の実力者、高山がアクシデントに襲われたのは、2018年7月の「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」の練習日だった。

 「すべてのボールがディボット跡に埋まっているように見えた。でも、キャディーは『そんなことないでしょ』と。すぐに病院に行ったら、水がたまって、網膜がはがれそうになっていると言われました」。正式な診断は「中心性漿液(しょうえき)性脈絡網膜症」。18年12月に名古屋大付属病院のスーパードクターによる手術を受けた。約1年のリハビリを経て、昨年8月に約2年ぶりにツアー復帰した。

 「復帰して、しばらくすべてが遠くに見えた」。高山はコロナ禍で20年と21年が統合された今季は前々週まで6戦で4度の予選落ちと苦しんだ。しかし、前週の中日クラウンズで3位と躍進。復活の手応えをつかんだ。「今は変な感覚はありません」とホッとした表情で話す。

 和歌山の強豪、星林高で野球部に所属。甲子園出場の夢を果たせなかったが、「6番・一塁」で主力として活躍した。高校卒業後にプロゴルファーを志し、研修生に。抜群の運動能力を生かし、わずか3年後の1999年にツアー優先出場権を争う予選会で72位に入ってプロ転向した。2002年には初の賞金シードを獲得。クラブを始めて握ってから、わずか6年で日本のトッププロの仲間入りを果たした。以来、ツアーのトッププレーヤーとして賞金シードを維持している。

 特別保障制度で公傷が適用され、今大会を含めて残り2戦で83万円910円を獲得すれば17季連続シード獲得となる。今大会では単独15位以内でクリアとなるが、目標は、あくまで優勝。永久シードのレジェンドで日本ゴルフツアー機構の青木功会長(78)に「勝つつもりでこい」と激励を受けたという。「先週の日曜日と昨日、2度も同じことを言ってもらいました。僕もそのつもりです」。高山は、柔和な表情の中で、回復した目をギラリと輝かせた。

最新のカテゴリー記事