【三觜喜一が作る故障しないジュニアのスイング】右前腕の「回内」でスイング速度アップ


 以前の回でも書きましたが、ゴルフスイングにおける最大の都市伝説、勘違いが、「スイングは横回転」というものです。これまで何度か書いてきたように、スイングは立体的な3次元の動きです。特に腕に関しては、ほとんど縦方向の動きだと考えてもらってもいいぐらいです。右腕を上げて、下に振り下ろす。その時に大事なのが前腕(肘から先)の回内(かいない)です。

「プロネーションドリル」で、右手のボールをインパクトで地面にぶつける生徒。右腕の回内がよく分かる

「プロネーションドリル」で、右手のボールをインパクトで地面にぶつける生徒。右腕の回内がよく分かる


 回内とは、前腕を手のひらが下を向くように回転させることです。日常生活では、アナログ体温計のメモリを下げるために振る動きや、手を洗った後にしぶきを切る動きがそうです。クラブを速く振るには右腕の回内が必要不可欠です。私のスクールでは「プロネーションドリル」というものをやらせています。クラブの代わりに右手にゴルフボールを持ち、アドレスからトップを経て、インパクトでボールを下のマットにたたきつけます。この時に、前腕を回内させると、ボールを強くたたきつけることができます。

 実は他のスポーツでも、手先や道具の末端を速く振ろうとすると、この動きになります。野球の投手が直球を投げる時。テニスのフラットサーブでも、ラケットを持つ腕が回内しているのが分かります。空手やボクシングでも、正拳突きやストレートを打つ時は、掌が下を向くように回転します。

 回内では、左親指は下を向くように動きます。いわゆる「サムダウン」です。よく、「フォローでシャフトを立てるようにスイングしなさい」というレッスンを聞きますが、明らかな間違いです。インパクト後は、遠心力で前腕は伸びます。無理に上を向かせようとしないことです。(取材、構成・鈴木憲夫)

 ◆三觜 喜一(みつはし・よしかず)1974年12月29日、神奈川県藤沢市生まれ。東京ゴルフ専門学校卒。PGAティーチングプロA級。OTTO CITTA(オットチッタ)ゴルフラボ&ラウンジ(世田谷区船橋2の7の6、TEL03・6411・3434)でレッスンを担当。小田原市では15年間、ジュニアの指導に当たっているほか、女子プロゴルファーの辻梨恵、植田希実子、和田みな子らも指導している。

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