西村優菜、9バーディー63で全3勝逆転V「ゴルフの神様が味方してくれた」賞金ランクも3位浮上


通算10アンダーで優勝し、笑顔でカップを手にする西村優菜(カメラ・豊田 秀一)

通算10アンダーで優勝し、笑顔でカップを手にする西村優菜(カメラ・豊田 秀一)

◆女子プロゴルフツアー 住友生命レディス東海クラシック 最終日(19日、愛知・新南愛知CC美浜C=6502ヤード、パー72)

 5打差15位から出た西村優菜(21)=スターツ=が9バーディー、ボギーなしのこの日ベスト&大会コース記録に並ぶ63で通算10アンダーとし、逆転優勝を飾った。5月のワールドレディスサロンパスカップ以来の通算3勝目は全て逆転で挙げたもので、賞金ランク3位に浮上した。渋野日向子(22)=サントリー=は68で今年初トップ10の4位。大会は36ホールに短縮され、賞金加算は規定により75%となった。

 身長150センチの小さなゴルファーが、不屈の精神で逆転優勝をたぐり寄せた。西村は最終18番、第2打を1メートルにつけ、この日9個目となるバーディー締め。プレーオフに備えた練習中に吉報が舞い込み、「すごく気持ちいいラウンド。ゴルフの神様が味方してくれた」と笑顔で喜んだ。

 台風一過で晴天の下、5打差を追ってスタートした。「とにかく伸ばすだけ。トップ10に入れたらいいな」という心境が、序盤の連続バーディーで変化した。7番第1打前にスコアボードで首位と3打差にいるのを確認し「そこからギアを上げた」。14番までの8ホールで6つ伸ばし、一気に首位へ。「自分がしっかり伸ばさないと。それで優勝できなければ、仕方ないと思った」と振り返った。

 プロデビュー後2か月半で迎えた昨年9月のメジャー、日本女子プロ選手権で首位から出た最終日に76と崩れ、7位に敗れた。「ターニングポイントになった。こんな弱い気持ちじゃ勝てない」と守りに入ったことを反省。「空回りをビビらずにやらないといけない」と言い聞かせ、昨年11月、今年5月、そして今回と3勝全てを逆転で手にした。

 勝負所で気持ちのギアを上げる際に参考にしたのが、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧(22)だという。6月以降で5ラウンド同組があった。「表情が引き締まるというか、集中力が高まるのを感じた」。強者の姿をまねることで自身も空気感を一変させた。

 賞金ランク1位の稲見とは6600万円以上の開きがあるものの、同3位に浮上。今年掲げた「21年に複数回V、賞金ランク5位以内」の目標のうち前者を達成し、「まだまだ上位で戦えるように。優勝目指してやりたい」と決意を新たにした。(岩原 正幸)

 ◆西村の過去の最終日逆転での2勝

 ▼20年11月の樋口久子・三菱電機レディス 6打差3位から出ると、8バーディー、1ボギーのベストスコア65で通算11アンダーで、首位から出た勝みなみ(2位)を逆転し、1打差で初優勝。

 ▼5月のワールドレディスサロンパスカップ 3打差2位で出て6バーディー、1ボギーの67で、首位スタートの高橋彩華(5位)を逆転。大会コースレコードを1打更新する通算14アンダーに伸ばし、国内メジャーでツアー2勝目。

 ◆西村 優菜(にしむら・ゆな)2000年8月4日、大阪・堺市生まれ。21歳。5歳からゴルフを始め、大商大高1年時にツアーデビュー戦の16年日本女子オープンで6位。18年アジア女子アマ2位。19年11月のプロテストに日本人最上位の2位で一発合格。得意クラブは9アイアン。憧れの選手は宮里藍さん、田仁智(韓国)。150センチ、50キロ。家族は両親、姉、弟。

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