上井邦裕「奇跡、奇跡、奇跡ですよ」…朝に初のぎっくり腰も難関18番唯一のバーディーで5差5位浮上


ホールアウトし、古川雄大(右)とグータッチを交わす上井邦裕

ホールアウトし、古川雄大(右)とグータッチを交わす上井邦裕

◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第2日(3日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)

 9年ぶり3度目出場の上井邦裕(39)=三好CC=が、ぎっくり腰を発症も、痛み止めを服用して史上5人目となる今大会でのツアー初優勝に向けて5打差の5位に浮上した。16位で出て4バーディー、ボギーなしの66。パー3の今季最難関ホールとなった最終18番でこの日唯一のバーディーを奪い、通算4アンダーでプロ17年目での悲願を射程に入れた。宮里優作(41)=フリー=はベストスコア65で回り、9アンダーの首位に浮上し、4年ぶりの大会3勝目へと前進した。

 すり鉢状となった名物ホールの18番に拍手が響き渡った。上井がグリーン右手前ラフからウェッジでの第2打を転がすと、カップへと吸い込まれた。鮮やかなチップインバーディー。右拳を上げてガッツポーズした。この日は平均ストローク3・667で、今季パー3ホールの最難関を記録していたが、「いやぁ、もう奇跡のバーディーっす。奇跡、奇跡、奇跡ですよ」。自身3度目の出場、計10ラウンド目の18番での初バーディーでもあった。

 まさにけがの功名だ。3日朝、ホテルで起床すると腰に感じたことのない痛みが走った。「初めてのぎっくり腰。痛みと重さがあって。疲れが取り切れていないのが原因」と、歩くのがやっとの状態だった。痛み止めの薬を服用してコース入り。フルスイングはせず、軽めの練習だけでティーオフした。

 ラウンド中も「ちょんちょんと打って」と軽めのショットを多用。フェアウェーキープ率は28・57%で最下位も、パーオン率は83・33%で全体1位。3番で5メートル、12番は8メートル、17番は2メートルを沈めて、ボギーなしで大会自己最少スコア66をたたき出した。「パターは良かったけど、このスコアは不思議ですよね」と腰を手でさすりながら苦笑いした。

 ともに今大会3勝を誇る「シリーズ男」の藤田寛之(52)、宮本勝昌(49)と同じ芹澤信雄(62)の門下生だ。賞金ランク上位の資格で臨む9年ぶりのメジャー。10年は25位、12年は21位だったが「若手に負けないようにとは常に思っている。体力的には負けていない。あとは腰が治ってくれることを願って」と上井。39歳の未完の大器が、晴れ舞台で大金星をつかむ。(榎本 友一)

 ◆日本シリーズJTカップがツアー初優勝 過去に1994年の佐々木久行(当時30)、2003年の平塚哲二(同32)、13年の宮里優作(同33)、16年の朴相賢(韓国、同33)。39歳の上井が勝てば5人目で最年長となる。

 ◆上井 邦裕(かみい・くにひろ)1982年10月28日、大阪府生まれ。39歳。15歳からゴルフを始め、名古屋商大時代の2002年に中部アマで優勝。04年には池田勇太らと世界アマに日本代表として出場。05年にプロに転向し、08年にシード権を初獲得後7年連続で維持した。10年「VanaH杯KBCオーガスタ」では第1Rと第3Rの8番で世界初の同一大会同一ホールホールインワンを記録。ツアー最高成績は今年の長嶋茂雄招待セガサミーカップなどの2位。180センチ、78キロ。

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