星野陸也、逆転賞金王へ猛チャージ3差2位浮上「優勝しかない、スコア伸ばせてよかった」


12番、ティーショットを放つ星野陸也

12番、ティーショットを放つ星野陸也

◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第2日(3日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)

 大逆転賞金王へ、優勝が条件の同ランク4位・星野陸也(25)=興和=が66の猛チャージで通算6アンダー3打差2位に浮上した。7位から出て1イーグル、4バーディー、2ボギーとエンジン全開。最終戦Vによるランク4位&約2356万円差をひっくり返せば史上最大となる。今夏の東京五輪で38位に終わったツアー屈指の飛ばし屋は、師走の“東京”で雪辱を果たす。

 前例のない大逆転劇へ、星野が一点集中で猛攻を仕掛けた。6番パー5(541ヤード)でこの日唯一のイーグル。ドライバーで311ヤードかっ飛ばすと、ピン手前10ヤードからの第3打はパターで「“ド”フック」と形容する右から左への急カーブをねじ込んだ。ドッと沸いた大拍手が心地良かった。不規則な風の中、持ち前の飛距離と精度の高いショットで66と伸ばし2位に浮上。「優勝しかない。スコアを伸ばせて良かった」と満足げだった。

 初日に痛恨のダブルボギーを喫した“魔の18番”では「倍返しだ!」と雪辱に燃えたが、第1打は風の読みが甘くグリーン左にこぼした。それでも大崩れしないのがこの日の星野。左足下がりの体勢で25ヤードから球をふわっと上げるロブショットで傾斜を使い2メートル半へ。パーパットこそ外れたが、平均ストローク3・667の今季パー3の最難関ホールで「ロブショットは完璧。神だった」と、大ピンチをボギーで耐えた。

 今年はツアーで2勝を挙げ、松山英樹とともに今夏の東京五輪に出場した。中学時代は卓球にも打ち込み、大のスポーツ好き。女子代表の畑岡奈紗、国内で賞金女王の稲見萌寧と開会式に出席し「憧れていた光景を目の当たりにできてうれしかった」。ただ、五輪は38位でメダル争いに絡めず自国代表選手として悔いが残った。自宅にはユニホームなど「五輪コーナー」を設置し、この夏の悔しさは絶対に忘れない。

 ビッグタイトルが懸かる今季最終戦も、今年のツアー2勝、五輪でも組んだ薬丸龍一キャディーと挑んでいる。目標の海外挑戦に向けても、初の賞金王で得られる5年シードは魅力的だ。

 大逆転賞金王は、今大会の優勝で引き寄せる。73年のツアー制施行後、最終戦Vでの逆転はランク2位からの片山晋呉(約771万円差)、宮里優作(約1718万円差)の2人。4位から約2356万円差をひっくり返せば、史上最大のドラマとなる。「優勝して賞金王になれたら最高です」。師走の“東京”で、“金”メダルをつかむ。(宮下 京香)

 ◆星野の東京五輪VTR 初日は第1組で競技開始を告げるオープニングショットを放ち、71でイーブンパーの8差41位。第2日は5バーディー、2ボギーの68で悪天候のサスペンデッドにより暫定25位。第3日は14番のダブルボギーなど2つ落として46位に後退。最終日は5バーディー、ボギーなしの66。通算6アンダー38位で初の五輪を終えた。

 ◆星野 陸也(ほしの・りくや)1996年5月12日、茨城・友部町(現・笠間市)生まれ。25歳。6歳で始め、茨城・水城高から2015年に日大進学も2年で中退し、16年夏にプロ転向。18年フジサンケイクラシックでツアー初V。今季3勝し、通算5勝。ツアーでドライバー平均飛距離は301.21ヤードで4位。186センチ、76キロ。家族は両親と姉、妹。愛称はリッキー。

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