香妻陣一朗がPO制し開幕戦V 「気持ちで入れた」土壇場で3連続バーディー


7番、ティーショットを放つ香妻陣一朗 (カメラ・馬場 秀則)

7番、ティーショットを放つ香妻陣一朗 (カメラ・馬場 秀則)

◆日本男子プロゴルフツアー 東建ホームメイトカップ 最終日(3日、三重・東建多度CC名古屋C=7062ヤード、パー71)

 3打差の首位から出た香妻陣一朗(国際スポーツ振興協会)が逃げ切ってツアー通算2勝目を飾った。最終ラウンドは1イーグル、2バーディー、2ボギーの69で回り通算14アンダーで首位に並んだ桂川有人(国際スポーツ振興協会)とのプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズ以来、2年ぶりの優勝をつかんだ。

 香妻がずぶぬれ姿で「シャー! 」と叫んだ。雨の中18番で行われたPO。桂川が先にパーとし、香妻は7メートルの左に曲がるバーディーパットを気迫でねじ込んだ。先にホールアウトした桂川を1打追って迎えた18番でも6メートルを決めて土壇場で追いついていた。「18番は2つとも本当に気持ちで入れましたね。こんなに苦しんだ中で勝てたのですごいうれしいです」と仲間の祝福に喜びをかみ締めた。

 辛勝だった。今季国内開幕戦は「今年稼げないかも」と言うほどショットが絶不調だった。「今日が一番やばくて(調子は)20~30%」。1番第1打でいきなり右ラフに曲げ「僕の日じゃないな…」と後続に差を詰められた。だが、5番パー4。フェアウェーから102ヤードの第2打を58度ウェッジで狙うと、ピン奥からバックスピンで直接入った。2位との差を再び3差に広げるイーグルに「あれ、いけるかも? 」と火がついた。

 そこからが苦しかった。12番脇のリーダーボードで桂川が伸ばしているのを確認すると、13番から優勝を意識するあまり「手が動かなくなって」ボギー。16番では3メートルのパーパットは打ち切れず、ボギー。16番までに6つ伸ばした桂川に首位を譲り、17番の前には一時、2打差に開いた。それでも「ダメだったらいい」より「何としても勝ちたい」気持ちが勝り、後がない17番からPOまで3連続バーディーで勝ちきった。

 2勝目は喜びの味が違った。20年の初優勝時は最終組の1つ前で、1打を追った18番でイーグル。鮮やかに逆転し、プロ9年目で念願の勝利を手にした。だが、今回は最終組で一時逆転されながら踏ん張って逃げ切った。「初優勝の時は勝てたことがうれしい気持ちだったけど、今回はこういう中でも勝てるんだと思えて。ゴルフ人生において調子が悪い中でのゴルフの仕方を考えさせられる試合になった」。

 コロナ禍前の19年にファンに身近に感じてもらう狙いを持ってYouTubeチャンネルを開設した。これまでにレッスンや質問コーナーなどの動画を配信していたが、編集担当の後輩が多忙で4か月前から新作を上げられずにいた。2年ぶりVを機に「また何か考えてやりたいなとは思っていたので。何か考えよっかな」と、ファン待望の新作に意欲を見せた。

 今季ツアー国内開幕戦でいきなり2季連続Vを果たした。次に見据えるのは「初の海外メジャー挑戦」と「国内で複数回V」だ。7月の海外メジャー、全英オープン(英国、セントアンドリュース)の出場資格は、5月のミズノオープン(岡山)で、12位以上で出場権のない上位4人など。「メジャーは小さい頃からの夢。すぐに3勝目を挙げて結果的に賞金王争いができたら楽しいかな」と飛躍のシーズンを思い描いた。

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