◆男子プロゴルフツアー ▽東建ホームメイトカップ 最終日(3日、三重県東建多度CC名古屋)
3打差首位から出た香妻陣一朗(27)=国際スポーツ振興協会=が、逃げ切ってツアー通算2勝目を挙げた。1イーグル、2バーディー、2ボギーの69で通算14アンダーの首位で並んだ桂川有人(23)=国際スポーツ振興協会=とのプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、20年11月以来、2年ぶりV。今季の国内開幕戦を制し、海外メジャー初挑戦、自身初の賞金王を描ける絶好のスタートを切った。
雨でびしょぬれになった香妻が「シャーッ!」と叫んだ。優勝を決める7メートルを強気に打ちきりねじ込んだ。165センチと小柄な体が大きく見えた。
18番でのPO。桂川が先にパーとし、香妻は7メートルのバーディーパットを気迫でねじ込んだ。先に上がった桂川を1打追った正規の18番では6メートルの右に曲がるラインを決めて土壇場で追いつき、20年11月の三井住友VISA太平洋マスターズ以来の2勝目につなげた。「18番の2つは気持ちで入れた。こんなに苦しかった中で勝てたのがうれしい」とかみ締めた。
辛勝だった。武器のショットは絶不調で「最終日が一番やばくて(好調時と比べて)20~30%」。1番で第1打を右に曲げ「僕の日じゃないな…」と弱気になったが、5番パー4で102ヤードの第2打がピン奥からバックスピンで直接カップイン。イーグルを奪い「いける」と闘志に火がついた。
後半は13、16番でボギーをたたき、桂川に首位を譲り一時は2打差に。最後は「何が何でも勝ってやる」と食らいついた。
開幕戦を制し、7月の全英オープンなど海外メジャー初挑戦への夢も膨らむ。「すぐに3勝目を挙げて結果的に賞金王争いができたら楽しいかな」。桜を背にはじける笑顔が飛躍の年を予感させた。(宮下 京香)