西郷真央、稲見萌寧超えツアー最速7戦4勝…ミラクルイーグルで逆転「こんなにいい結果が出るとは」


復帰戦で今季4勝目を挙げた西郷真央(左)は、キャディーを務めた河野杏奈プロと優勝トロフィーを手にした(カメラ・今西 淳)

復帰戦で今季4勝目を挙げた西郷真央(左)は、キャディーを務めた河野杏奈プロと優勝トロフィーを手にした(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー パナソニックオープン 最終日(1日、千葉・浜野GC=6660ヤード、パー72)

 首痛から3週ぶりに復帰した西郷真央(20)=島津製作所=が15番のスーパーイーグルで逆転し、今季出場7戦でツアー史上最速の4勝目を飾った。ツアー通算4勝目。2打差2位で出ると、1イーグル、2バーディーの68で回り通算10アンダーで地元・千葉で初タイトルを手にした。次週のワールドレディスサロンパスカップ(5~8日、茨城GC西C、報知新聞社後援)でのメジャー初制覇へ弾みをつけた。前日首位のテレサ・ルー(34)=台湾=が2打差の2位だった。

 ここぞの場面で、西郷のミラクルショットが飛び出した。テレサ・ルーを1打追って迎えた15番パー4、フェアウェー左サイドから6アイアンで放った山なりのショットは、ピン手前から転がりカップインした。「100点に近いショット。ヨシって思った」。イーグルに歓声が上がると、高校の2年先輩でツアープロの河野杏奈キャディーに駆け寄り、ハイタッチで喜んだ。

 首痛から復帰 幸運に心臓が 3ホールを残し、この試合で初めて単独首位に立った。「こんなラッキーがあっていいのかな。帰りに“事故”らないように。心臓がドキっとした」。普段は慎重なコメントが多い20歳が珍しく声を高ぶらせた。18番もバーディー締めで、後続を2打退け、今季出場7戦で4勝目と圧倒的な強さ。昨年、稲見萌寧が達成した初戦から8戦4勝の記録を更新した。首痛で2戦欠場後、3週ぶりの試合で地元・千葉で味わう初の歓喜に「復帰戦でまさか優勝できると思っていなかった」と目を丸くした。

 11番まではパーが続く、我慢の展開だった。6番はグリーンを外したが、しぶとくパーセーブ。前半を終えトップと4打差も「午後から風が吹くからまだ分からない」と諦めなかった。2位7回と優勝に届かなかった昨年との違いを「これまでならパーセーブできずにズルズルと落とした。オフに課題だったショートゲームを練習して“バーディー待ち”のプレースタイルができている」と説明し、胸を張った。

 次週は今季メジャー初戦のワールドレディスサロンパスカップ。昨年大会は「力んで空回りした」と3打差2位で迎えた最終日に75と崩れ、10位に終わった。2勝目直後の3月末には師匠・尾崎将司(75)から「メジャーを取れると、夢である海外に近づけると思うから頑張れ」と激励された。西郷は「難しいセッティングに対応できるように。もちろん優勝したい気持ちは強いけど、目の前の一打に集中した結果、優勝できればいい」と雪辱を誓う。2日から練習ラウンドの予定で、ビッグタイトルへ狙いを定めた。(岩原 正幸)

 ◆西郷 真央(さいごう・まお)2001年10月8日、千葉・船橋市生まれ。20歳。5歳でゴルフを始め、14年全国小学校選手権優勝。父が尾崎将司の大ファンで、麗沢高時代に弟子入りし、ジャンボアカデミー1期生に。19年日本女子アマ優勝。同年のプロテストに一発合格。今年3月のダイキンオーキッドレディスでツアー初V。憧れは通算50勝の不動裕理。158センチ。家族は両親と姉。

 ◆西郷が達成した記録 ▽年間4勝達成時の出場試合最速記録 これまでの最速、21年稲見萌寧(フジサンケイレディス)の8戦を更新。以下、04年不動裕理、18年鈴木愛の10試合と続く。

 ▽年少5番目 20歳205日の通算4勝目達成は〈1〉宮里藍(04年、19歳1日)〈2〉畑岡奈紗〈3〉古江彩佳〈4〉横峯さくらに続き、5位の若さ(88年ツアー制施行後)。

■西郷に聞く「こんないい結果が」

 ―首を痛めていたが、復帰戦で優勝。

 「そこまで自分に期待していなかったが、優勝することができてすごくうれしい」

 ―欠場していた影響は。

 「特に痛みを感じることはなく、問題なくできた」

 ―開幕から出場7戦中4勝。ポイントランクでも首位。

 「こんなにいい結果が出るとは思っていなかった。まだ始まったばかりなので、あまり意識することなく毎試合全力でプレーしたい」

 ―ドライバーショットを修正し、フェアウェーキープ率は14回中、初日の7回から最終日は12回に向上した。

 「朝の練習場でミスヒットが少ないと感じた。やっと自分の感覚と合ってきた」

 ―第2日後は練習しなかったが。

 「睡眠を取ることを第一に考えた。7時間半くらい寝られた」

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