稲森佑貴「メジャーしか勝てない」男が“平場”で初V 食生活見直しポテチは「3時の1袋だけ」


18番、激しい雨の降る中パーをセーブし、2位に3打差をつけてホールアウトした稲森佑貴(カメラ・豊田 秀一)

18番、激しい雨の降る中パーをセーブし、2位に3打差をつけてホールアウトした稲森佑貴(カメラ・豊田 秀一)

◆日本男子プロゴルフツアー 中日クラウンズ 最終日(1日、愛知・名古屋GC和合C=6557ヤード、パー70)

 12年目の稲森佑貴(27)=国際スポーツ振興協会=が、2打差の3位からの逆転で今季初、20年の日本オープン以来となる通算3勝目を挙げた。8バーディー、1ボギーでこの日のベストスコア63をマークして、通算16アンダーで2位に3打差の快勝。過去2勝とも日本オープンで、メジャー以外の大会は初優勝となった。1打差の首位から大会連覇を狙った岩田寛(41)=フリー=は、通算11アンダーで3位に終わった。

 鉛色の空から降り注ぐ雨の中、稲森が優勝を決めるパーパットを沈めた。拍手とともに祝福のシャワーに変わると、ボールを握った右腕を掲げた。「ぶっちゃけ、メジャーしか勝てないと言われた時もあり複雑だった。レギュラートーナメントを、(18年の)初優勝前から出て最初からフィーリングの合った和合(コース)で勝ちたかった」。水色の勝負服の上に羽織ったブルージャケットが、ひときわ映えた。

 15年から6季連続フェアウェーキープ率1位を誇る“曲がらない男”の真骨頂だ。ティーショットに加え、セカンドのアイアン精度も抜群。“ベタピン”の9、16番を含み、6つのバーディーが3メートル以内。「あと2発くらいバーディーパットを外している。雨で湿ったのも良かった」。コースとの相性の良さ、雨でボールが止まりやすくなった条件も生かし、自己ベストの63で頂点に立った。

 ツアー2勝はともに日本オープンで、誰もが憧れるメジャータイトル。「メジャーしか勝てない」「メジャーだけで、いいんじゃない」。先輩らは冗談を飛ばすが、当人にはそう聞こえなかった。「これで終わりたくない」。“平場”で勝つことが悲願だった。

 食生活を見直し、試合後に映画観賞しながらつまむ「ポテチ」が好物だったが、春雨とトマトジュースに変更。「おやつは3時の1袋だけ。これがいつも守れるか…。今シーズンはそれとの闘いもある」と笑わせた。

 大会3年ぶりに観客が戻り、過去の優勝を観戦できなかった妻・美穂さんに雄姿を見せ、意欲は高まった。「若い世代が優勝している。今年28になるが、古株っぽくなってきているので、負けないように。おじさん臭を出しちゃってるけど、負けないようなゴルフを展開したい。賞金王を目指したい」。若手にもベテランにも譲らず、稲森にしかできないゴルフ道を真っすぐに歩む。(宮崎 尚行)

 ◆稲森 佑貴(いなもり・ゆうき)1994年10月2日、鹿児島県出身。27歳。実家が練習場で6歳からゴルフを始め、鹿児島城西高2年時の2011年に16歳でプロテストに一発合格。日本オープンで初優勝を遂げた18年に自己最高の賞金ランク3位。通算3勝。169センチ、68キロ。家族は妻。

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