山下美夢有 年少2位のメジャー完全V!初優勝で達成は日本人史上4人目 支えてくれた母の前で涙


母の日に優勝を果たした山下美夢有は、母・有貴さん(右)に優勝杯をプレゼントした(カメラ・今西 淳)

母の日に優勝を果たした山下美夢有は、母・有貴さん(右)に優勝杯をプレゼントした(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 最終日(8日、茨城・茨城GC西C=6680ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 6打差の首位で出た山下美夢有(みゆう、20)=加賀電子=が3バーディー、2ボギーの71で通算12アンダーで逃げ切り、2001年生まれの“21世紀世代”で初の国内メジャー覇者となった。ツアー2勝目。20歳279日で、宮里藍に次ぐ年少2位の4日間メジャーでの完全優勝を達成。初日(5日)に誕生日を迎えた母・有貴さん(46)ら家族の前で最高の“母の日V”を届け、うれし涙を流した。

 最終18番、30センチのパーパットを沈めた山下は、ようやく緊張から解放された。グリーン横で見守った母・有貴さんら家族に出迎えられて笑顔になったが、直後の優勝インタビューでは笑顔が一変。母の日の質問を受けた瞬間に目を潤ませ、「目の前で優勝することができて本当に良かった。ママ、いつも支えてくれてありがとう」と、涙声で感謝を述べた。

 6打差の首位で最終日を迎え、朝から緊張しっぱなしだった。「なかなか気持ちが落ち着かなかった」。両親とコースに向かう車中では、コーチの父・勝臣(まさおみ)さん(47)に「勝負曲ないのか?」と聞かれ、人気音楽ユニット・C&Kの「道」を流し、曲に乗せて母が踊って緊張を和らげた。「いつも面白いこと言ったり、私が笑顔になるようにしてくれる」と母に感謝した。

 8番で5メートルを決めて初バーディー。「まず一つ取れて良かった」。9番のボギーで3差に迫られたが、「自分を信じて一打一打集中して」と、12、15番でバーディーを奪い、3差で逃げ切り。「メンタルがやられてた」という3戦連続予選落ちから、4日間メジャーでの年少2位となる完全Vを達成した。

 5歳でゴルフを始め、最初に大人のドライバーを握り、きれいな打球を飛ばして父を驚かせた。高3でプロテストに一発合格し、昨年4月にツアー初優勝した。同7月、一家に衝撃が走った。父が新型コロナウイルスに罹患(りかん)し、「肺が真っ白な状態」(母)に。命の危険もある状態の中、母は数週間、神社に通って手を合わせた。北海道でツアー中だった山下は、マネジャーに「母に電話して、父の容体を教えてください」と、涙を流しながらプレーした。

 父は無事回復し、今大会では優勝を支えてくれた。父の助言でショット、パット前のルーチンを今週から変更。両親の1か月ぶりコース来場で最高の結果を出し、「恩返しができて良かった。今日は100点」と安どした。「複数回優勝目指して、これからも頑張りたい」。孝行娘は活躍を誓った。(岩原 正幸)

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