山下美夢有、ゴルフ一家が明かす秘話 家族旅行にこっそりクラブ持参「ママたちは観光してきてええよ」


15番、バーディーを決めてガッツポーズの山下美夢有(カメラ・小林 泰斗)

15番、バーディーを決めてガッツポーズの山下美夢有(カメラ・小林 泰斗)

◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 最終日(8日、茨城・茨城GC西C=6680ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 山下美夢有(20)=加賀電子=が通算12アンダーでツアー通算2勝目&メジャー初制覇。山下の強さには5歳の時、一緒にゴルフを始めた“ゴルフ大好き一家”の支えがあった。現在もコーチを務める父・勝臣(まさおみ)さん(47)が独学で娘を指導し、21世紀世代初のメジャー制覇につなげた。青木瀬令奈(29)=フリー=が3打差2位。稲見萌寧(22)=Rakuten=と石川明日香(24)=フリー=が3位だった。

 美夢有の成長は、山下一家の歴史でもある。5歳でゴルフを始めた娘に、父・勝臣さんも娘と練習し、指導しながら知識をつけた。小学生時代に家族で三重・伊勢神宮に旅行に出かけた際には、山下がこっそりクラブを車に詰め込んだ。「ママたちは観光してきてええよ」と近隣のゴルフ場で降ろすことを促したという。母・有貴さんは「部屋でもスイングしたり、ゴルフのことばかり考えている子でした」と笑って明かす。

 ショットの安定感は強じんな下半身があってなせる。ジュニアの時は父と1歳下の弟・勝将(まさゆき)さんの3人で練習に励んだ。近所の公園にある50段の階段を2人で何周も駆け上がった。勝将さんは「僕は休憩したりしていたけど、姉は全然休んだりしない」。また、自宅から6~7キロ離れた練習場まで弟と競うように走って向かい、その上で「夜遅くまで」クラブを振り続けた。「中学生の時は山を走っていたし、下半身は強いと思います」と勝臣さんは明かした。

 プロになってからも父考案の独自練習法で腕を磨いた。オフはダンベル代わりに水を入れた25リットルのポリタンクを持ち上げる。「筋力アップに加えて、ポリタンクの水が揺れるからバランス感覚を養える」と父は説明する。他にも腕力を鍛えるために10メートルのロープを波を打つように振ったり。「ショットの精度を高めた」という。

 2か月前には6歳下の妹・蘭さんが「お姉ちゃんを尊敬している。お父さんの指導でお姉ちゃんはプロになったんやから、私にも教えて」とゴルフを始めた。現在も年に2回は家族でラウンドを楽しむ。母は「スコアは102とか。楽しんでいます」。最終日に急きょ駆けつけた弟を含め、山下を支えた家族みんなで歓喜の涙を流した。(宮下 京香)

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