西郷真央、ツアー最速10戦5勝 憧れの不動裕理超え 16番バンカーから奇跡のイーグル「入るとは」


今季5勝目を挙げ、ブリヂストン杯を掲げて笑顔を見せる西郷真央(カメラ・今西 淳)

今季5勝目を挙げ、ブリヂストン杯を掲げて笑顔を見せる西郷真央(カメラ・今西 淳)

 ◆女子プロゴルフツアー ブリヂストンレディス 最終日(22日、千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦C=6713ヤード、パー72)

 1打差の首位で出た西郷真央(20)=島津製作所=が1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で通算13アンダーで逃げ切った。開幕から出場10戦5勝は、2004年に憧れの不動裕理が記録した11戦5勝を塗り替えるツアー最速。勝率は驚異の5割となった。2戦連続予選落ちの不調から、撮りだめたスイング動画と自身のメモを見直して復調。師匠・尾崎将司(75)の支えにも感謝した。稲見萌寧(22)=Rakuten=が2打差2位。

 15番を終えて4人が首位に並ぶ大混戦。西郷は16番(実測472ヤード)でグリーン左バンカーから、25ヤードの第3打を直接入れるイーグルで後続を一気に突き放した。「入るとは思わなかったのでびっくりした」。カップからボールを拾い上げると、満面の笑みでバンザイ。最終18番も3・5メートルのバーディーで、地元・千葉のギャラリーの前でかっこよく優勝を決めた。

 首位で出たが、4番のボギーなど重苦しい流れに。前半終了で稲見に2打リードを許した。「追われている感覚でつらかった。後半は攻めるしかない」。11番、7メートルのパーセーブ後、13番のバーディーで首位に並んだ。師匠の尾崎から大会前に授かった「悪くてもまとめないとな」の言葉通り、カバーする技術力を実践。14番も林に打ち込んだが、2オンからパーを取り「流れが来た」と、終盤の猛攻につなげた。

 3週前に4勝目を飾ったが、ここ2週はスイングの調子を崩し、失意の予選落ち。約5年前から携帯に残しているという練習中のスイング動画を、高校時代やプロ初年度(20年)のものにさかのぼって見直した。当時気づいたこともメモ機能に記しており、映像と合わせながら自身の癖と向き合った。ジャンボの助言も加わり、スムーズなテイクバックからトップの動きを取り戻した。

 「調子が悪い時は、お風呂につかって動画を見ることも。携帯なくしたら大変ですね(笑い)」と語るほど、研究熱心さが復活を呼んだ。今季は開幕戦の初優勝から出場10戦で5勝。不動の史上最速記録を更新。「すごいことを達成して驚いている。記録をつくれてうれしい」と声を弾ませた。

 師匠が男子ツアーで1988、97年に勝った開催コースでカップを掲げた。次戦は全米女子オープン(6月2~5日・米ノースカロライナ州)。「目の前の試合に集中していたけど、結果的にいいステップを踏むことができた」。国内勝率5割の20歳が最高峰の舞台に挑む。(岩原 正幸)

 ◆西郷 真央(さいごう・まお)2001年10月8日、千葉・船橋市生まれ。20歳。5歳でゴルフを始め、14年全国小学校選手権優勝。父が尾崎将司の大ファンで、麗沢高時代に弟子入りし、ジャンボ尾崎アカデミー1期生に。19年日本女子アマ優勝。同年のプロテストに一発合格。今年3月のダイキンオーキッドレディスでツアー初V。憧れは通算50勝の不動裕理。158センチ。血液型AB。家族は両親と姉。

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