工藤遥加、ソフトバンク前監督の父・公康コーチ“2つの教え”で悲願初Vへ 7アンダー暫定首位


工藤遥加は13番でティーショットを放つ(カメラ・岩田 大補)

工藤遥加は13番でティーショットを放つ(カメラ・岩田 大補)

◆女子プロゴルフツアー ▽宮里藍サントリーレディス 第2日(10日、兵庫・六甲国際GC=6527ヤード、パー72)

 3差4位から出た、ツアー未勝利の工藤遥加(フリー)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算7アンダーとしてホールアウトした。前半スタート組終了時点で暫定首位につけた。

 工藤は前半の4、5番でともに2メートル以内のパットを沈めて連続バーディー。7番もバーディー後、9番のボギーで1つ落としたが、後半の15番でカラーから3・5メートルのバーディーパットを決めて、この日は3バーディーで上がった。工藤は「昨日よりもピンが振ってある印象だったので、その中で3アンダーで回れたのは良かったと思う」とうなずいた。

 今季はここまでの14戦で7度の予選落ちがあり、最高成績は10位。8度目の予選突破は確実で、ツアー初勝利へ向けて好位置で決勝ラウンドに入れそう。その陰には家族のサポートがある。今季はオフからプロ野球のソフトバンク前監督で、父の公康氏がコーチに就任。この日は来場していなかったが、約10年ぶりに観戦に訪れた3月のTポイント×ENEOSでは今季最高順位を残した。

 公康氏は現役時代に投手として通算224勝を積み上げ、実働29年は歴代1位タイ。11度の日本一を経験した。さらに、2015年に就任したソフトバンク監督時代には5度の日本一に輝いた“V請負人”だ。工藤は「すごくたくさんアドバイスをしてもらっているが、昔から自分は悪い方向へ考える癖が抜けなくて。100%生かせているかといえば、凝り固まった思考がじゃましている部分があるが、すごく褒めてくれるのは少し自信になっている」と頬を緩めた。そのなかで、印象的な2つの助言を明かした。

 1つは基本の徹底。試合や練習で疲れて、そのまま寝ることが多かったが「シャワーでなくて、きちんと湯船につかるとか、ストレッチも10分とかでなく。『気持ちは分かるけど、やった方がいいよ』と」。同じプロアスリートとしての経験談を、あくまで強制しない形で提言するのが“公康流”だ。

 もう1つは「完璧主義より、最善主義」ということ。先週の試合後には2人でラウンドを見てマネジメントについて話し合ったり、その後の練習場にも同行。今週に向けたマネジメントのなかで、「自分が、そのショットを打てるのかどうか。まだ打てないのか。いいイメージというのも大事だが、自分が今できるレベルのことをやることが大事」と完璧を求めすぎないメンタルの重要性を説かれた。この日のラウンドで、工藤は「ピンポジを見て攻めすぎると落としてしまう印象だったので、パターで攻められるところは攻めて(好位置に)ついたときにバーディーを狙おうと。その通りにできた」と効果が表れた。

 今年から本格的にキャディーを務める、弟・拓也さんの存在も力になっている。「たわいもない話をたくさんできるが大きい。私は緊張するタイプで、なごませてくれる。今までは1人でずっと転戦していたので、家族が1人でもいてくれているのは心強い」。前日のラウンド後も、会場近くでともに夕食を取ってリフレッシュ。英語の塾講師の仕事もあるが「なるべく時間を作ってもらい、一緒に戦ってもらえるようお願いしている」と感謝した。

 決勝ラウンドに向けて、工藤は「今日は後半に下半身が少し止まってしまって、アイアンが左へ行っていたので、そのへんを修正して頑張りたい」と意気込み。“工藤家”の力を結集して、プロ12年目の悲願の初タイトルを奪うつもりだ。

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