山下美夢有、西郷真央に続き“21世紀世代”2人目の今季の複数回V…地元関西で雪辱で今季2勝目


山下美夢有は記念撮影を前に口紅をぬり直した(カメラ・岩田 大補)

山下美夢有は記念撮影を前に口紅をぬり直した(カメラ・岩田 大補)

◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 最終日(12日、兵庫・六甲国際GC=6527ヤード、パー72)

 4差4位で出た山下美夢有(みゆう、20)=加賀電子=が4バーディー、ボギーなしの68で通算12アンダーに伸ばし逆転優勝を飾った。今季2勝目、通算3勝目で、西郷真央に続き“21世紀世代”2人目の今季の複数回Vを達成。今季の目標に掲げた国内メジャー制覇と複数Vを前半戦でクリアし、今大会2位までに出場権が与えられるAIG全英女子オープン(8月)での海外デビューにも意欲を示した。

 最終組の1組前、山下は最終18番で1メートルないパーパットを冷静に沈めた。「(藤田)さいきさんも12アンダー。しっかり決めてプレーオフをやる気持ちだった」。その後に藤田がボギーでスコアを下げて、通算3勝目が確定。戦闘モードを解くと「去年2位で悔しかった。地元の関西で優勝できたのが一番、うれしい」。3年ぶりの有観客となった今大会、親族や大阪桐蔭高時代の仲間ら30人近い大応援団の前で、1打差で負けた昨年の雪辱。笑顔に充実感と達成感がにじんだ。

 「あまりいい状態ではなかった」と初日4アンダーも、2日目に1アンダーと降下。救ったのは、コーチの父・勝臣(まさおみ)さん(47)だ。2日目途中に駆けつけ、スイング軸のブレを指摘。ラウンド後にバンカーからのショット練習で修正に取り組むと、3日目3アンダーと再浮上。この日は唯一のボギーなしで終えた。

 今季1勝目のワールドレディスサロンパスカップも、1か月ぶりに同行した父が力になった。「悪くなった時に、見てくれたらすぐ直る。何でだろうなと思う」。競技開始から1日も欠かさず、娘のプレー動画を見てきた愛情のたまもの。1か月前に「母の日」ウィークをVで飾った孝行娘は、今週末の「父の日」を先取りして恩返し。身長150センチの3分の2ほども高さがあるトロフィーを持ち「めっちゃ重かった」と笑った。

 今季ここまでのツアー15戦を西郷と2人で計7勝。「すごいというのと、私も負けないという気持ち」。切磋琢磨(せっさたくま)する2001年生まれの“21世紀世代”が席巻している。その西郷より先に国内メジャー制覇を奪い、今回で年間複数回優勝も達成。これまで慎重だった海外挑戦も、少し前向きな発言に変わった。「まだ確実に決まっているわけではないけど(全英へ)行きたい思いはある」。4年目のホープが、新たな扉を開こうとしている。(宮崎 尚行)

 ◆山下 美夢有(やました・みゆう)2001年8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。20歳。5歳から父の影響でゴルフを始める。大阪桐蔭高3年時の19年に全国高校ゴルフ選手権で優勝。同年11月のプロテストに合格し、昨年4月のKKT杯バンテリンレディスで初優勝。今年5月のワールドレディスサロンパスカップでメジャー初優勝。150センチ、52キロ。家族は両親、弟、妹。

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