◆女子プロゴルフツアー Tポイント×ENEOS 最終日(19日、鹿児島・鹿児島高牧CC=6419ヤード、パー72)
4打差2位から出た青木瀬令奈(30)=リシャール・ミル=が最大8打差を大逆転した。「敵は自分自身」と言い聞かせ、8バーディー、ボギーなしの64で回り、大会記録の通算17アンダーで昨年7月の資生堂レディス以来のツアー通算4勝目。詳細な記録の残る90年以降では、54ホール以上では史上14人目となる大会を通じてノーボギーでの優勝となった。首位から出た上田桃子(36)=ZOZO=は後半に失速して3位に終わった。
青空の下、右手を突き上げた。青木は18番で1・5メートルのパーパットを沈めると、安どの笑み。「充実したオフが過ごせて、3戦目で優勝できてホッとしている」。2月に30歳を迎えた中、3年連続の優勝をつかんだ。
4、5番ではスタートダッシュを決めた同組の上田に8打差をつけられた。「最大の敵は自分自身。徹底してやろう」。後半も諦めずに差を詰めると、13番でダボをたたいた上田を逆転。後半に5バーディーを奪う圧巻のプレーで、ツアー14人目のボギーなしVも達成した。「諦めずにやった結果」。自らに、ゴルフに真剣に向き合った努力のたまものだった。
この2年、美容院にも行かず自ら髪を切り、ネイルサロンや趣味の宝塚歌劇団の鑑賞も封印。トレーニングも昨年11月の最終戦直後から始めた。「私生活で選択肢があればゴルフのためになる方を選ぶ」というストイックな生活ぶり。大西翔太コーチ兼キャディーは「侍のよう」と評する。今週は鹿児島神宮に2度必勝祈願に訪れ、神頼みもした。
「年々、ゴルフが好きになっている」と青木。会見では、通算13勝でツアーを休養中の親友・成田美寿々(30)のことに触れ「私の頑張りで、また頑張ろうと思ってくれれば」と涙を流した。7月にはお目当ての公演があるという宝塚の“解禁”も明かしつつ、「メルセデス・ランク(ポイント)のトップ3を目標にしないと、トップ10には入れない」と表情を引き締め直した。(岩原 正幸)