◆米男子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 マスターズ 最終日(9日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC=7545ヤード、パー72)
第3ラウンド(R)の残りと最終Rが行われた。松山英樹(31)=LEXUS=は第3Rの7ホールで3バーディーを奪い、70。6打差5位で出た最終Rは2バーディー、5ボギーの75とパットが決まらず、通算2アンダー16位で2年ぶり大会制覇を逃した。ジョン・ラーム(28)が12アンダーで、スペイン勢史上4人目の大会優勝者となった。一時は逆転の可能性を示した松山の奮闘ぶりを記者が「見た」。
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計25ホールの長い最終日を終えた松山は険しい表情を浮かべ、報道陣の前に現れた。最終Rは6打差5位から。ビッグスコアを出せば―。優勝者に与えられるグリーンジャケット獲得に再び可能性を示しただけに、胸中は無念さで満ちていただろう。
暫定17位から再開された第3Rでは最初に12番の2メートルのバーディーパットを沈めるなど4ホールで3つスコアを伸ばした。最終Rは前半終了時に5打差で折り返し、バックナインへ。だが後半に3ボギーと伸ばせず、現実はつらいものになった。10~13番、全て3~8メートルの射程内につけながら、パットがカップをすり抜けた。何度も天を仰いだ。
上位猛追どころか75をたたき16位。「いいところにつけていたので、1個、2個入っていれば、もう少し面白い展開にできたが…」。壮絶な戦いを振り返ったその両目に、うっすらと光るものが見えた。
2週前のツアーを首痛により棄権した。首や手首に不安を抱え、大会の練習中にはトレーナーに肩から腰にかけてケアを受ける姿も見られた。「体の状態を考えればよくその(第3R後の)位置に居られた」と本音も。「最終Rの前半で2つ、3つ伸ばせれば、上はなかなか独走する感じではない。(でも)なかなか思い通りにいかない」と、もどかしさを明かした。
「良い状態で4日間プレーできていないのが悔しい。早く良い状態で練習も制限なくできるようになれば、ちょっとした距離感やパッティング練習も、もっと時間を費やせる。まず体のメンテナンスをいい形にしたい」。本調子で臨めなかった悔しさがにじんだ。
最善は尽くした。大会でのフェアウェーキープ率は全体4位の85・7%。一方でアイアンショットと、勝負どころのパッティングでは思うようなプレーができなかった。「ティーショットが良ければ、パット、アイアンが良くなかったり、チグハグ。最終Rは思い切り振れていたが、コントロールがなかなかうまくいかなかった」と総括した。12度目の出場で知り尽くすオーガスタで、得意の寄せで粘るも最後の2ホールは力尽き、連続ボギーで幕を閉じた。
松山は「課題はずっと変わっていない。克服していけるように。次のメジャーまでに準備をして、勝てるように頑張りたい」と言葉をつむぎ、5月の全米プロ以降のメジャー3大会へ気持ちを切り替えた。(岩原 正幸)
◆松山英樹に聞く
―ショットに関して。
「ティーショットは昨日(8日)の第3Rの前半以外、だいたい良かった。アイアンショットが総じてずっと悪い。そことパッティングが、今朝は入ったが、なかなか合わせられず苦しいと思いながら(プレーした)」
―最終日の第3Rと午後の最終Rでグリーンの感触は違った?
「そうですね。今週は、今日の朝以外は(グリーンの)スピードをつかめなかった」
―今週はかなり悪天候に左右された。スタート時間は悔やまれる?
「(予選Rの)前の組のラームが(4日間で)トップなので何とも言えない」
―マスターズを振り返って。
「終わったばかりなので、何も思っていない」