昨年、史上初のジュニアゴルフ世界4大メジャーのグランドスラムを達成し「天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(ゴルフ5)が15日、茨城・金砂郷CCで行われたプロパッティングツアー第5戦でプレーオフの末、惜敗し、2位となった。
パッティングツアーは、その名の通り、パットだけのグリーン上の勝負。約2メートル~約20メートルの距離で18ホールが設定され、パー36で争う。弥勒は予選ラウンドを3バーディー、ボギーなしの3アンダーで首位タイで通過。予選ラウンド18ホールの成績を加えて、上位6人で3ホールを争う決勝ラウンドでも首位タイでホールアウトしたが、プレーオフでレギュラーツアー出場経験もある笹原優美に敗れた。自己最高タイの好成績ながら念願の初優勝を逃した弥勒は「悔しいです」と満足することなく話した。
続いて同CCで行われた第6戦でも予選ラウンドを3位タイで通過し、決勝ラウンドでも優勝と2打差の3位と健闘した。
弥勒は3月にジュニアゴルフ界からの「引退」を表明。「今後、年齢制限があるジュニアの試合には国内、海外を問わず出場しません。(アマチュアの)ナショナルチームや日本女子アマも目指しません。プロツアーの試合のデビュー戦に向けた準備に専念します」と宣言した。
今回のプロパッティングツアー2戦は「ジュニアゴルフ界引退」を表明した後、初の実戦。パット名人の大人に交じって安定した成績を残した。父の憲一さんは「最初にプロパッティングツアーに参加をさせていただいた頃は中位から下位の成績でしたが、2年かけて今では常に優勝争いをできるようになりました。勝つコツをつかめば、今季、何勝もできると思います」と前向きに話した。
昨年の日本女子アマ覇者の寺岡沙弥香も2試合に出場し、7位と5位。弥勒が連勝した。弥勒と親交がある日本トップアマの寺岡は「弥勒ちゃんは本当にスキのないいパットをします。怖い選手です。チャンスは決めるし、ボギーは打たない。本当に強いです」と褒めたたえた上で、優勝を逃して肩を落とす妹分を笑顔でねぎらった。
現行のツアーのルールでは満13歳で出場可能。2011年8月6日生まれの弥勒の場合、来年の8月6日以降にツアーに出場できる。弥勒は今後もプロパッティングツアーに参戦し、腕を磨く。「来年のツアーデビューまでにプロの世界で通用する技術を身に付けさせてもらいたいです。あとは、勝つだけです」と弥勒は目を光らせた。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。11歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇し、頭角を現す。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。昨年8月に横峯良郎氏に弟子入りした。現在、ドライバーの飛距離は約210ヤード。昨年、アマチュア資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、弥勒は所属契約のゴルフ5をはじめ、12社・団体とスポンサー契約した。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。