笹生優花、1差2位メジャー2勝目はならず…6バーディー猛追「楽しくラウンドできた」


笹生優花

笹生優花

◆米女子プロゴルフツアー 今季メジャー第2戦 全米女子プロ選手権 最終日(25日、米ニュージャージー州バルタスロールGC=6621ヤード、パー71)

 8位スタートの笹生優花(22)=フリー=が6バーディー、1ボギーの66をマーク。猛追を見せ、通算7アンダーの首位でホールアウトも、後続組にかわされて1打及ばず2位だった。好ショットで“死闘”を演じたが、2021年の全米女子オープン以来となる日本人初のメジャー2勝目はならなかった。古江彩佳(23)=富士通=も66と伸ばし、5アンダー8位。20歳の殷若寧(イン・ルオニン、中国)が8アンダーでメジャー初優勝、米ツアー通算2勝目を挙げた。

 

 バーディー締めで、笹生は再び首位に並んでホールアウトした。1つ後ろの組で回っていた殷の結果を待った。相手が18番でバーディーパットを沈めた瞬間、1打差で日本人初のメジャー2勝目は消滅した。「心から満足はしていない」と悔しさをのぞかせながらも「やることをしっかりやって、楽しくラウンドできた」とすがすがしい表情だった。

 悪天候による1時間50分ほどの中断後、10番のチップインバーディーで一気に流れをつかんだ。15番でロングパットを沈めて首位を捉えた。直後の16番パー3でボギーを喫して後退も、18番で左バンカーからの第3打を傾斜を使って50センチに寄せた。今季は4戦連続の予選落ちを経験したが、大舞台で復調。「メジャーの試合にアジャストできた」と胸を張った。

 これまでは抜群の飛距離を誇る一方で小技に不安を残し、大崩れする場面もあった。21年の全米女子オープン優勝後は苦しい時期が続いていたが、今月初旬のみずほアメリカズ・オープンでクラブを一部変更。新しいアイアンを導入し「結構、楽」と好感触を口にしていた。今大会はショット、パットで高い精度を示した。

 会場のバルタスロールGCで行われた1980年全米オープンで、青木功がジャック・ニクラウスと優勝争いを演じ、2打及ばず2位だった。「バルタスロールの死闘」から43年。笹生が再び名勝負を繰り広げた。惜敗に終わったが「ヒストリーがあるゴルフ場で1週間ラウンドができた。本当にいい1週間だった」とうなずいた。

 メジャーでの強さをあらためて示し、2週後の全米女子オープン(7月6~9日、カリフォルニア州ペブルビーチGL)へ臨む。連覇の懸かった昨年は予選落ちの屈辱を味わった。「1週空くのでしっかり休んで、準備をしていきたい」。バルタスロールでの借りを返し、2年前の歓喜を再現する。

 ◆バルタスロールの死闘 1980年の全米オープン(バルタスロールGC)で青木功(当時37)とジャック・ニクラウス(同40)が4日間同組で演じたV争い。青木は首位のニクラウスに5打差で出た2日目に68をマークして2打差に接近。3日目は17、18番の連続バーディーで帝王に並び、日本人初のメジャー首位浮上。最終日は前半で2打のビハインドも最後まで食らいつき、後半は両者10、17、18番でバーディーと譲らず。青木は2打及ばずも日本人メジャー最高(当時)の2位に入った。

 ◆笹生 優花(さそう・ゆうか)2001年6月20日、フィリピンで日本人の父・正和さんと、フィリピン人の母・フリッツィさんの間に生まれる。22歳。代々木高卒。5歳から4年間は日本に滞在し、8歳の時、フィリピンでゴルフを始める。19年にプロ転向し、8月のNEC軽井沢72で日本ツアー初優勝。フィリピン代表として出場した21年東京五輪後に日本国籍を選択。日本語、英語、タガログ語が堪能。166センチ、63キロ。

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