【番記者の視点】馬場咲希、飯島早織、荒木優奈の3人だからこそつかんだジュニア世界一 来年からはプロの世界で競演を


優勝が決まり、笑顔の日本女子チームの(左から)馬場咲希、荒木優奈、飯島早織

優勝が決まり、笑顔の日本女子チームの(左から)馬場咲希、荒木優奈、飯島早織

 23日までジュニアゴルフの国別対抗戦「トヨタジュニアゴルフワールドカップ(報知新聞社後援)」が開催された。開幕前日から現場取材をし、世界各国の高校生の熱い戦いを見た。日本チームは男女とも団体優勝、個人も1位は日本選手で計4冠と、国内ジュニア選手のレベルの高さには驚かされた。特に女子は、3人の仲の良さを連日見せ、報道陣からは「女子校の修学旅行」と形容されるほどの明るさと楽しさがあった。

 昨年の全米女子アマチュア選手権を制した馬場咲希(代々木高3年)、今月開催の日本女子アマ選手権Vの飯島早織(ルネサンス高3年)、ナショナルチームの荒木優奈(日章学園高3年)の日本女子チーム。開幕前から「協力し合って、試合ができるのがすごく楽しみ」(馬場)と団体戦を心待ちにしているようだった。練習中も、互いに動画を撮り合ったり、話しながらリラックスしていた。馬場、飯島は「宮里藍サントリーレディス」、「日本女子アマ選手権」からの3連戦だったが疲れを見せず、笑顔を絶やさなかった。

 大会初日から2位に6打差をつけ、目標としていた20アンダーを優に超える通算32アンダーで4日間首位を譲らずの完全V。荒木は個人優勝も果たし、2冠を手にした。荒木に勝因を聞くと「仲の良さ。2人のいい流れに引っ張られた」と即答だった。全員が「自分が悪くても、ほかの2人が助けてくれる」という意識を持ち、信頼し合って世界の頂点に上り詰めた。馬場は「MVPはみんな」といい、飯島は「個人成績だけでは、この景色を見ることはできなかった」とこの3人だからこそ達成できた優勝だと話した。

 15年大会から女子が初めて正式種目として実施された。歴史は浅いものの、出場した選手には米ツアーで活躍する古江彩佳(富士通)や西村優菜(スターツ)、昨季年間女王の山下美夢有(みゆう、加賀電子)、東京五輪銀メダルの稲見萌寧(Rakuten)らを輩出。馬場は歴代選手を見て「トッププロの方たちばかりで、この大会に出られたことがすごいうれしい。さらに、仲良しで大好きな2人と優勝できてすごくうれしかった」と充実の表情で語った。

 他国の選手と会話を楽しむ場面も多々あった。飯島は2日間同組の韓国選手とラウンド中も終始楽しそうに会話をし、最後は健闘をたたえ合い、肩を抱き合いながらスコア提出所に向かっていた。練習場で韓国やドイツの男子選手を見つけると「イケメンがいる!」などと、いかにも女子高生らしい会話を3人で繰り広げていた。女子チームの元気で明るい表情に報道陣も連日元気をもらっていた。荒木は29日開幕の国内女子ツアー、資生堂レディスに出場。馬場は海外メジャー、全米女子オープン(7月6日開幕、カリフォルニア州ペブルビーチGL)に参戦する。それぞれアマやジュニアの枠を離れ、プロの世界で真剣勝負をする。

 全員、今年10月の最終プロテスト(岡山・JFE瀬戸内海GC)を受験予定だ。「3人で同期になり、活躍したい。頑張ろうね」と口をそろえていた。それぞれ、今後の目標を語った。馬場は「海外メジャーを勝ちたい」、飯島は「賞金女王と世界ランク1位」、荒木は「日本でも、世界でも活躍する選手になりたい」。3選手ともプロとなっても世界一を目指す大志を抱く。

 1998年度生まれの「黄金世代」を筆頭に毎年、若年化が進む女子ツアー。さらに若い2005年度生まれの3選手がプロになり、より日本の女子プロゴルフ界を明るく活性化させてくれるのではないか、と思った。記者も今秋の最終プロテスト取材を予定している。3人がプロになる瞬間を現場で見届けるのが今から楽しみだ。(ゴルフ担当・富張 萌黄)

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