
2015年大会覇者の原江里菜は当時のパネルと記念撮影(カメラ・高木恵)
◇女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス プロアマ戦(23日、福岡・ザ・クイーンズヒルGC=6503ヤード、パー72)
ツアー2勝の原江里菜(NEC)が3月の開幕戦以来となるレギュラーツアーを迎える。2015年大会覇者は主催者推薦で、今回の出場資格を得た。直前までかなりの練習量を積み追い込んできたが、試合会場では不安が先に来る。「全然仕上がっていない。練習では仕上がっているのに、コースに出たら本当にたいしたことがなくて、がっかりしちゃう。練習ではこう振ろう、ああ振ろうって振れるけど、(コースの)景色を見たら全然同じことができない」。開幕前日も必死の調整が続いた。
37歳。最近は解説者として試合を外から眺める機会が増えた。「ゴルフの見え方はだいぶ変わった。渦中にいる時は見えなかったものが見えるようになった」という。「今の選手はすごい飛んでいるって勝手に思っていた。でも(試合に出ている)120人のプレーを全部ちゃんと見たら、私ぐらいしか飛ばなくてもスコアを作っている選手もいるんだなとか。自分は飛距離が足りないから戦えていないって思っていたけど、実はそうじゃなかったかもってちょっと思ったり」。多くの気づきをもたらしてくれた。
「技術がうまい選手と、メンタルというか切り替えがうまい選手と2種類いる。自分は技術ばっかり上げようとしてきた。ゴルフっていうスポーツに対してまず、けっこう雑だったかなって。飛ばない、通用しない、ああダメだって思ってきて、『どうせ』みたいな雑な部分があった。もう少し丁寧にやれるはず」と自分に言い聞かせるように口にした。
最後の優勝が2015年のこの大会。クラブハウス前に飾られている歴代覇者のパネルに、トロフィーを掲げる自分の写真がある。「若っ。あっという間。10年? うそでしょっていう感じ」とはにかんだ。この日はプロアマ戦で9ホールを回り、日差しが照りつけるグリーンでパッティング練習に1時間を費やした。
実戦は2週前の下部ツアー、ロイヤルメドウカップ以来。先週、先輩の上田桃子さんから「江里菜は考えすぎだから。たまには考えなくていいんじゃない?」と助言をもらった。ツアー会場に向かう空港で、レンタカーの車内で、テンションが上がる自分がいた。「やっぱり現場が一番いい。現場にいる選手が一番幸せ。満喫してきます」。プロゴルファーとしての喜びを、丁寧に一打に重ねていく。