
9番で林の中から第2打を放つ松山(カメラ・渡辺 了文)
◆男子プロゴルフツアー ダンロップフェニックス 第1日(16日、宮崎・フェニックスCC=7042ヤード、パー71)
4年ぶりの日本ツアー出場となる2014年大会覇者の松山英樹(31)=LEXUS=が、日米通じて3年ぶりとなる単独首位発進を決めた。1イーグル、6バーディー、ボギーなしで、大会自己ベストの8アンダー63をマーク。ホストプロとして、9年ぶりの大会2勝目を目指す。64で回ったアマチュアの杉浦悠太(22)=日大=が、首位と1打差の2位につけた。
松山がホールを重ねるごとに、会場の熱量は上がった。4年ぶりのフェニックスで見せた貫禄のプレー。「プレッシャーもあるけど、声援をもらうとうれしい。いいショットが打てていたし、パットも、そんなに大きなミスなく終われた」。ホストプロとしてこれ以上ない、日米通じて3年ぶりの首位発進だった。
前半11番のパー3で5メートルを沈めてバーディーを先行させた。「自信を持って出られるような状況ではなかったけど、そこから落ち着いてできた」。波をつかんだ松山の勢いは加速した。18番パー5。4アイアンを握った残り226ヤードの第2打は、ピン手前からフックラインを描いて1メートル半に寄った。「たまたま転がってくれて寄ったけど、ミスショット」と苦笑したが、イーグルを奪い、この日最大の見せ場となった。最終9番では左の林から前方の木と木の間を抜く“スーパーフック”で、第2打を花道まで運んでパーをセーブ。7月の3Mオープン以来15ラウンドぶりのノーボギーを完遂した。
1か月前のZOZOチャンピオンシップは51位に終わったが、復調の兆しをつかみつつあった。開幕前には「今の方が不安はあるけど、今の方が良くなるんじゃないかなっていう期待感はある」と現状を表現。「今日だけで判断するのはどうかなと思うけど良かったと思う」。この日の18ホールで、その「期待感」を体現してみせた。
21年のマスターズ制覇以降初の日本ツアーで出したビッグスコアにも、満足はしていない。「いつ崩れるか分からないという不安はある。ここ最近ずっとそういうプレーだし」。ホールアウト後は練習場で1時間10分にわたり調整。最後は50人近いファンにサインし、コースを後にした。「明日以降もしっかりと伸ばして、最終日をいい位置で迎えられるように頑張りたい」。9年ぶりの大会2勝目を、第50回の記念大会に刻む。
(高木 恵)
◆松山の首位発進 日本ツアーは2016年11月の三井住友VISA太平洋マスターズ以来。米ツアーでの直近は20年8月のBMW選手権。ともに今回同様、単独トップだった。