今田竜二氏が松山英樹の優勝を分析「30歳を過ぎて自分との向き合い方も変わったのでは」 今年のメジャー活躍を期待


今田竜二氏

今田竜二氏

◆米男子プロゴルフツアー ジェネシス招待 最終日(18日、カリフォルニア州リビエラCC=7322ヤード、パー71)

 6打差の7位から出た松山英樹(31、LEXUS)が9バーディー、ボギーなしの最少62をマークし、通算17アンダーで逆転優勝した。2022年1月のソニー・オープン以来、2年ぶりのアジア勢で単独最多となるツアー通算9勝目。賞金400万ドル(約6億円)を獲得した。3打差の2位にウィル・ザラトリスとルーク・リスト(ともに米国)が入った。米ツアー1勝の今田竜二氏が松山の復活優勝を語った。

 松山選手は今週パッティングがすごく良かったです。首位と6打差と優勝が見えない位置から、攻めるしかないとスタートしました。最終18番の場面、少しでも不安があるとショートしがちですが、15メートルのバーディーパット(カップを1メートルオーバー)を良いストロークでしっかり打てていました。

 ここ2年優勝がない苦しい状況の中で、今週は実力を出せていました。米ツアーで11季目。首、腰、手首など30歳を過ぎていろんな箇所に不安を抱えていました。20代と同じような練習量はできないですし、練習をしていないと落ち着かない選手なので、その辺りの付き合い方が大事になってくる年齢です。30歳を過ぎて自分との向き合い方も変わってきたのではないでしょうか。

 これまでのように朝から晩まで球を打つというのではなく、より内容の濃い練習を、そして、メンタルのこと、トレーニングでも体をいたわりながら進めていかなくてはなりません。今年に入り、体調がすごく良くなっているようなので、また少しずつ練習量を増やせたのも今週良かった点ではないかと思います。

 勝つというのは本当に難しいこと。どれだけ力があっても運がないとダメですし、今週は好きなコースで、(オーナーが日本人で)ゆかりがあるコースというのも後押しになったのでしょう。タイガー・ウッズが出ている試合で勝てるのは幸せですよ。1週間ずっと天候にも恵まれました。先週(フェニックス・オープン、22位)も最終日にイーグルなど良い終わり方をして、1月下旬にはホールインワンを決めるなど良い流れが来ていたことは確かです。もうすぐかな、とも思っていました。ここ最近は表情も明るく、ポジティブなコメントが見受けられ、精神面の強さが備わってきている印象です。

 体(の状態)が良くなり、動きができることで、メンタル的にも良くなり、ゴルフにつながってきたのだと思います。今週は最終日以外、ショットメイキングに関しては、まだ不満なところが多かったでしょう。ですが、パッティングに助けられて良い結果につながったので、完璧なゴルフをしなくても勝てるんだと、改めて実感していると思うので、それもまた良かったと感じています。

 昨季は(ランキング30位以内が出られる)最終戦、ツアー選手権への連続出場記録が「9」で途切れましたが、最低限の目標はトップ50入りだったと思います。最後に滑り込みで入ったおかげで、今週の格上げ大会でこのチャンスをつかんだということ。自分の実力で流れをつかんでいます。今月(25日)に32歳となり、体力的には少しずつ落ちてくる年齢かとは思いますが、それを補うだけのメンタル的な強さもあります。ゴルファーとしては30~33歳辺りが一番乗っている時期ですから。

 勝つということは、本当にどんな薬よりも効果があるもの。なおかつ、この大きな試合ということで、これからの1、2年間、メジャー(4大会)でどのようなゴルフをしてくれるのか、すごく楽しみになりました。どの試合もそうですが、メジャーというのは勝つ期間が空くと勝ちにくいものだと思います。こういうゴルフをすれば勝てるんだというのが、身にしみて分かると、メジャーがグンと近づいてきます。これからの1、2年間のメジャーでまたもう1回やってくれるのでは、と期待します。もちろん、勝ったからといって満足して練習をやめない男ですので、やはりいかにうまく自分をマネジメントしながら、練習をしていくかがカギになるでしょう。(プロゴルファー)

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