日本史上最速Vの竹田麗央に全米女子プロゴルフ協会絶賛「タケダは今や止められない」


◆米国女子プロゴルフツアー ブルーベイLPGA 最終日(9日、中国・ジャンレイク・ブルーベイGC=6712ヤード、パー72)

 単独首位から出た昨季の国内年間女王・竹田麗央(21)=ヤマエグループHD=が、2位に6打差をつける独走の米ツアー2勝目を挙げた。8バーディー、ボギーなしの64の好スコアで回り、通算17アンダーで制覇。日米両ツアーを兼ねたTOTOジャパンクラシックを昨秋に制したが、今年から本格参戦している米ツアーのメンバーとしては初の勝利となり、参戦5戦目での優勝は日本史上最速となった。賞金は37万5000ドル(約5550万円)。3位の古江彩佳(24)=富士通=ら上位8位に日本勢5人が入った。

 ウィニングパットから30秒後。竹田はグリーン上で畑岡奈紗、山下美夢有ら日本勢の仲間にシャンパンファイトで手荒く祝福された。手にしたボトルをグビッとラッパ飲みして“祝杯”を上げ「すごいおいしかった」。叔母で国内18勝の平瀬真由美(55)らに続く、米ツアーメンバー1年目で勝利。5戦目の優勝は史上最速記録で「こんなに早く優勝できると思ってなかった。すごくうれしい!」と喜びをかみしめた。

 ひとり旅だった。強風が吹き荒れる中国・海南島。首位で出た最終日は「攻めていかないと追い抜かれる」とピンへ攻め続けた。出だしの1番で2メートルのパットを決めると、3、4番で連続、後半は5つのバーディーラッシュ。フェアウェーキープ率は上位の78・6%、パット数は24、ボギーなしでコース記録に並ぶ64をマークした。全米女子プロゴルフ協会はSNSで「タケダは今や止められない」と絶賛。2位に6打差の圧勝劇だった。

 6歳でゴルフを始めた頃からの夢をかなえた。熊本県の実家で営むゴルフショップ1階の試打室で、プロゴルファーの母・哲子(さとこ)さん(56)のスイングをマネてクラブを振った。天性の飛距離でジュニアでも頭角を現し、小学校の文集で記した夢は「賞金女王」、そして「世界」。昨年は国内で4月の初Vから8勝を挙げて初めて年間女王に輝き「23~24歳くらい」と出場時期を描いていた米ツアーに21歳で参戦した。

 昨季日本ツアー1位(263・19ヤード)の平均飛距離に加え、小技も磨いた。今オフは、練習の大半を割いていたショットと、課題だったアプローチの時間配分を逆にした。今大会も力感のないスイングからピンにピタリと寄せ、観客を沸かせた。1月から米国、タイ、シンガポール、中国と転戦しながら状態を維持し、5戦中3度のトップ10入り。「明日、日本に帰れるのでおすしが食べたい。シマアジが好き」とはにかんだ。

 昨年は日本、今回は中国で優勝。次は芝の質やグリーンの難易度が上がる米国本土での優勝を狙う。世界ランク(現在17位)で自己最高16位を上回るのが確実な竹田は「いつかメジャーで優勝したい」。米ツアーで87年に日本勢で唯一獲得した岡本綾子に続く年間女王への道を歩み始めた。

 ◆竹田の第3日までのVTR  ▽初日 5バーディー、2ボギーの3アンダーで4位発進。

 ▽第2日 2日連続で古江と同組となり14番パー5のイーグルなどスコアを3つ伸ばして3位につけた。

 ▽第3日 畑岡と同組。16番パー3で2段グリーン下から約6メートルのロングパットを決めてバーディーを奪い、3日連続の69で単独首位に浮上した。

 ◆竹田 麗央(たけだ・りお)2003年4月2日、熊本・合志市生まれ。21歳。21年プロテスト合格。22年から国内ツアー参戦。24年にKKT杯バンテリンレディスで初優勝し、メジャー2連勝含め年間8勝を挙げ、21歳222日の年少3位で初の年間女王に輝いた。趣味は野球観戦で巨人ファン。166センチ。家族は両親と兄、弟。

◆竹田に聞く 「毎試合収穫があっていい方向にいった」

 ―今季米ツアー本格参戦し、5戦目で優勝した。

 「私もこんなに早く優勝できると思ってなかった。すごく毎試合収穫があって、それがすごくいい方向にいったのかなと思う」

 ―最終日を振り返って。

 「スタートホールからバーディーが取れて、今日は4つ取ることを目標にしていたので、クリアできて最後に優勝できてすごくうれしい」

 ―今日はいけると思った瞬間は。

 「なるべく順位とか意識しないようにしていました。10番の難しいホールでバーディーを取れて、このまましっかり集中したらチャンスあるのかなと。あまり考えないようにしていた」

叔母の平瀬真由美 驚き喜び「両方」 〇…米ツアー1勝の平瀬真由美が国内開幕戦のテレビ解説後、めいの竹田の米ツアー2勝目に喜びのコメントをした。「こんなに早く優勝できるなんて思わなかったもので、ビックリとうれしいのと両方」と驚いた様子。自身も96年の米本格参戦1年目に東レジャパンクイーンズ杯で初優勝を飾っているが「いやいや、今の時代とは全然、レベルが違いますから」と謙遜していた。

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