
9番、パーセーブしてはじけるような笑顔を見せる渋野(カメラ・今西 淳)
◆女子プロゴルフツアー Vポイント×SMBCレディス 第1日(21日、千葉・紫CCすみれC=6668ヤード、パー72)
今季国内初戦の渋野日向子(26)=サントリー=が4バーディー、2ボギーの70で回り、首位と3打差の4位と好発進した。国内ツアーで初日5位以内は、前回優勝した21年10月の樋口久子・三菱電機レディス以来、3年5か月ぶり。米ツアーを主戦場とする中、国内で復活Vを目指す。23年大会優勝の青木瀬令奈(32)=リシャール・ミル=が5アンダーの67で回り、8年ぶりの単独首位スタートとなった。
4755人が集結したギャラリーから「おぉぉ~」とどよめきが起こった。最終18番パー5。渋野は残り78ヤードの第3打をバックスピンでピン下1メートルにピタリと寄せ、バーディー締め。大声援に満面の“しぶこスマイル”で応え「本当に日本でしか見れない景色。いい刺激になる一日だった」。2アンダー、4位の好発進に白い歯を見せた。
ピンチでもリカバリーが光った。14番パー4。右の林から残り177ヤード第2打を5ユーティリティーで「芯くった!」と会心の一振り。木の間を居抜き、ピン奥約5メートルに運ぶスーパーショットでパーセーブした。硬く、速い難グリーンにも対応。「耐えて耐えてのゴルフ。フガフガしない(焦らない)で冷静にできた」と独特な言葉で総括した。
“出遅れの渋野”を払拭(ふっしょく)した。米ツアーが主戦場のため国内開催試合の参戦が少ない中、初日は23年5月のブリヂストンレディスが110位、昨年8月の北海道meijiカップも「ボロボロだった」と83位発進で、ともに予選落ち。国内開催の初日トップ5発進は3年5か月ぶりだ。今季から契約フリーとなり、シャフトの硬さを調整したクラブで好ショットを連発。「道具は100%に近づいてる」と言い切った。
大会スポンサーと契約するホステスプロとして大きな注目を浴びるが、自然体は変わらない。19日は米大リーグのカブス―ドジャース戦を生観戦し「私はカブスファン。今永(昇太投手)さん推し! 刺激をもらえた」。開幕前日の20日は「焼き鳥とおでんのお店で、リラックスしてベラベラしゃべった。初心に返る感じ」とリフレッシュして臨んだ。
首位と3打差の4位。見据えるのは、21年10月以来の国内7勝目だ。「フガフガしないこと。私は何かしらやらかすタイプなので(笑)。欲張らずにいきたい」。自分自身に強く言い聞かせ、勝負の週末に挑む。(星野 浩司)
◆渋野の日本ツアー上位発進 2位が最高で、1度の単独を含めて4度ある。19年のリゾートトラストレディス(最終順位は10位)、ヨネックスレディス(46位)、大王製紙エリエールレディス(優勝)と、単独の20年JLPGAツアー選手権リコー杯(3位)。トップ10スタートは10位で初日を終えた22年JLPGAツアー選手権リコー杯(10位)以来だった。
◆渋野の主なおもしろ発言
▼19年8月 NEC軽井沢72(長野)に向け「清々(すがすが)しい」を独特な感性で言い換え「キヨキヨしたい。私はこう読んでいます」。
▼20年12月 全米女子オープン初日で首位と1打差の2位発進に「100点以上。出木杉くんです」。
▼21年12月 米女子最終予選会で風の計算をミスしてボギーに「今日一番“マンギレ(最大級の怒り)”。腹立つわ~」。
▼22年4月 シェブロン選手権第2ラウンド(R)でアドレナリン全開の66をマーク。単独首位で決勝Rに進み「上位にいる分、アドってた」。
▼22年6月 全米女子オープンに向けてコースで調整し「土の上にイソギンチャクが生えたみたいなラフ。何あれ!?」。