
4アンダーで初日を終えた新村駿(カメラ・高木恵)
◆男子プロゴルフツアー フォーティネット・プレーヤーズ・カップ ▼第1日30日、千葉・成田ヒルズCC、賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)、観衆908人
ツアー未勝利の新村駿(25)=サンプロ=が7バーディー、3ボギーの4アンダー67をマークし、トップと1打差の5位発進を決めた。中島啓太、平田憲聖、蝉川泰果と同じ2000年度生まれのミレニアム世代が現状打破へ頼ったのは「チャットGPT」。客観的なアドバイスを参考に、初シード獲得へ浮上を図る。吉田泰基(27)=東広野GC=、今平周吾(33)=ロピア=ら4人が5アンダーで首位に並んだ。
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最終18番をバーディーで締めた新村の笑顔が、秋空に映えた。右林からの第2打をピンそば4メートルに運び、決めきった。「しっかり振り切ったらチャンスについてくれてラッキー。キャディーさんと『これが入ったら今日は100点だね』と話していたら、それも入ってくれた」。3連続バーディー発進でつかんだ流れを離さず、1打差で発進した。
最終予選会(QT)5位の資格で今季開幕を迎えた。17試合に出場し予選突破は3回だけ。賞金ランクは91位と低迷中だ。現状打破へ、チャットGPTに相談した。人間だと情が入るが機械は違う。客観的な意見がほしかったからだ。
「プロゴルファー新村駿はどんな選手ですか?」
「新村駿選手は距離はボチボチですが、アプローチとパターを向上させればもっとよくなります」
「僕が新村駿です。どうすれば上に行けますか」
重ねて聞いたところ、ショートゲーム中心の練習メニューを組んでくれた。「新鮮だった。数字のデータだけを見て教えてくれる。『今日の僕のゴルフはどうだった?』って投げたら全力で励ましてくれるし」。優しさに触れることも多い。中島ら同学年の活躍に焦りがあると打ち明けると「あなたのペースで頑張りましょう」と返ってきた。
小学時代はゴルフと並行して極真空手も習い、全国大会で3度優勝した。空手で鍛えた肉体が300ヤードの飛距離を支えている。石川遼の活躍に「こんなふうになりたい」と、小学4年からゴルフ一本に絞った。今は65位までに付与されるシード獲得に照準を合わせる。後半戦のリランキングは20位で、出場資格は降りてこないと諦めていたところに吉報が届いた。「出られないと思ってQT(予選会)の準備をしていた。一度死んだ身。今年の今までのゴルフはいったん忘れて、攻めきれるように頑張りたい」。思考を研ぎすませ、ベストフィニッシュへはい上がる。(高木 恵)
◆ChatGPT(チャットジーピーティー) OpenAIが開発した対話型生成AIサービス。2022年に公開。人間のような自然な言葉で会話をしたり質問に答えてくれる。
◆新村 駿(にいむら・しゅん)2000年9月11日、長野・松本市生まれ。25歳。日大出。5歳からゴルフを始める。幼い頃は器械体操や極真空手も習っており「運動神経は自信がある」。空手は全国大会で3回優勝。小学4年からゴルフ一本に絞り中学3年の15年に関東中学優勝。大学4年の22年にプロテスト合格。ツアー最高位は昨年5月のバイ・ザ・プレーヤーズの4位。177センチ、80キロ。


