Y・E・ヤン、ミジン夫人と二人三脚でツアー5勝目! 


優勝し、キャディを務めたミジン夫人(左)と共に笑顔でトロフィーを手にするY・E・ヤン(カメラ・渡辺 了文)

優勝し、キャディを務めたミジン夫人(左)と共に笑顔でトロフィーを手にするY・E・ヤン(カメラ・渡辺 了文)

 ◆男子プロゴルフツアー 中日クラウンズ 最終日(29日、愛知・名古屋GC和合C=6557ヤード、パー70)

 2打差2位で出た、09年全米プロ王者で韓国のY・E・ヤン(46)=NOW ON=が5バーディー、2ボギーと4日連続の67で回り、通算12アンダーで、2006年9月以来となる日本ツアー5勝目を挙げた。

 2位に3打差をつけて迎えた最終18番。ピン左から8メートルのバーディーパットが勢いよくカップにおさまると一瞬の静寂の後、大歓声がわき上がった。ヤンは右拳を突き上げてガッツポーズ。笑顔でウィニングボールを観客席へと投げ入れた。

 「この12年、すごく長かったです。今日、優勝することができてすごくうれしいです。2番で3パット(ボギー)して、そこから集中力を高めてプレーしたのがよかった。過去3回全部、このコースではトップ10(04年7位、05年3位、06年4位)に入っているので自信がありました」

 不規則に舞った風と硬く乾いたグリーンで、全体的にスコアが伸び悩んだ最終日。10番で2メートルのパーパットを外し、同じ最終日最終組で初優勝を狙う上井邦裕(35)に1打リードを許した。だが「残り8ホールあれば何とか戦える」とアジア男子初のメジャーチャンプは、冷静さを保った。11番、12番で3メートルのバーディーパットを立て続けに決め、再び単独首位に躍り出ると、右拳を揺らした。

 終わってみれば2位に4打差の完勝劇だった。06年に欧州ツアーで初優勝し、09年のホンダ・クラシックで米ツアー初優勝。同年の全米プロでは全盛期のタイガー・ウッズ(米国)との最終日最終組対決を制した。10年にもボルボ中国オープン、韓国オープンを制した。しかし、90キロまで体重が増え「ラウンド後に足の裏が痛くなった」と勝利から見放された。

 現在は、09年にアジア人男子で初めて海外メジャーを制した82キロまで減量した。「飛距離は同じくらい」。14年に米ツアーのシードを失い、昨年までは欧州ツアーに主戦場を置いた。そして昨年から、美人妻で「ゴルフは90台で回る」というキム・ミジンさん(39)をキャディーに起用。日本ツアー予選会を2次からはい上がり、トップ通過を果たした。「今は妻と楽しみながらやっています。妻の方が僕よりもちょっと上なんですよ」と、グリーン上のラインの読みやバンカーならしなどは、全て自らこなしている。

 8月の全米プロなど米ツアーにも今季は数試合出場予定だが、軸足は12年ぶりに日本ツアーに置く。賞金2400万円を獲得し、賞金ランク5位に浮上。「思ったよりも早く勝てたので2勝、3勝としたい」と意気込む。2勝した04年の賞金ランク3位が自己最高。精神面も充実し、卓越した技術を誇るメジャー王者が一躍、今季の賞金王候補に名乗りを上げた。

 また、前日の第3ラウンドでは、2週前に米ツアーのRBCヘリテージを制した小平智と同組で回った。「小平はドライバーも飛ぶし、アイアンもパットも上手。また米ツアーで優勝する可能性はあると思うし、松山英樹みたいになれるのでは」と素質を高く評価していた。

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