2回にわたって、アドレス時の腰のアングルと、肩甲骨のポジションを説明してきました。確認すると、背中は緩やかにアーチを描き、肩がはまった状態(下半身はひざを少し曲げて柔らかく)が正しいアドレスです。この「緩やかなアーチ」の感覚をつかむためのトレーニングが「キャットバック」です。
四つんばいになって腰から背中にかけて丸くアーチを作ります。背中を伸ばして、曲げてを繰り返すストレッチがキャットバックですが、分離症の子は腰が丸くなりません。その場合は、下から、おなかのあたりを持ち上げてやって補助します。この「背中がアーチを描く」動きは、実はスイングの中にも出てきます。よく「腰を切れ」といいますが、これもよくある勘違い、スイングの都市伝説とでもいうべきものです。
トップの状態から、いきなり「腰を切る=左へ腰を回す」と、上半身も開き、クラブは外から下りてきます。いわゆる、カット打ちになるわけです。雑誌やレッスン本などでは「上半身を残したまま、下半身を切る」などと教えているものもありますが、普通のアマチュアにはまず無理です。実際には、プロや上級者は切り返しで一瞬、右側にふところを作り、それから腰を切り上げます。クラブの下りてくるスペースを作るのです。この「ふところを作る」動きが、背中がアーチを描く感覚になります。
これは、そういう体ができていなければ、いくらスイングを教えてもできません。体の動きを教えることがいかに重要か、分かっていただけたかと思います。
また、「肩がはまった」状態を確認する動きが「アームシザーズ」です。脇を締め、重ねた両手を交互に素早く入れ替えるのですが、肩がはまっていれば、肘から先を素早く動かせます。この肘下の速さは次回以降のレッスンでまた出てくるので、覚えておいてください。(取材、構成・鈴木 憲夫)
◆三觜 喜一(みつはし・よしかず)1974年12月29日、神奈川県藤沢市生まれ。40歳。東京ゴルフ専門学校卒。PGAティーチングプロA級。OTTO CITTA(オットチッタ)ゴルフラボ&ラウンジ(世田谷区船橋2の7の6、TEL03・6411・3434)でレッスンを担当。小田原市では16年にわたり、ジュニアの指導に当たっているほか、女子プロゴルファーの辻梨恵、植田希実子、和田みな子らも指導している。