松山英樹が日本人初マスターズ優勝! 激闘を制し、日本ゴルフ史に名を残す


◆米男子プロゴルフツアー メジャー21年初戦マスターズ最終日(11日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC=7475ヤード、パー72)

 2位と4打差の首位スタートした松山英樹(29)=LEXUS=が優勝を果たした。日本人初のマスターズ優勝&レギュラー日本男子初の海外メジャー制覇。10回目の出場で松山は、栄光のグリーンジャケットに袖を通し、日本ゴルフ史に名を残す快挙を成し遂げた。

 これがメジャー初優勝に向けてのプレッシャーなのか。

 松山は難関の1番パー4の第1打を大きくミスした。ドライバーを握らず、番手を落とした3番ウッドで放ったボールは大きく右に曲がり、林へ消えた。第2打も、あわや木を直撃する危ないショットだった。フェアウェーからの第3打は全くピンに寄らず、10メートルのパーパットを残した。

 しかし、振り返ってみれば、ドタバタしたのは、第3打までだった。パーパットは入らなかったもののカップ縁に止まる完璧な距離感だった。

 1番をボギーでスタートした松山は通算10アンダーに後退。その時点で、1、2番をバーディーで発進し、通算9アンダーとしたウィル・ザラトリス(24)=米国=に1打差に迫られた。4打あった差は、アッという間に1打差まで肉薄されたが、ここから松山が本来の姿を取り戻した。

 2番パー5ではドライバーで放った第1打がフェアウェーを捕らえ、第2打をグリーン手前のバンカーへ。第3打を1メートルに寄せて、バーディー奪取。スコアを通算11アンダーに戻した。

 3番パー4、4番パー3はパーをセーブして迎えた最難関の5番パー4。第1打を左バンカーに入れ、第2打をフェアウェーに刻む。残り96ヤードの第3打はピン左約6メートルに残したが、長いパーパットを強気のタッチで沈め、最難関ホールを切り抜けた。

 松山は6番パー3では4メートル、7番パー4では1・2メートルのバーディーチャンスにつけた。いずれも惜しくもバーディーパットを決められなかったが、流れを確実に取り戻した。

 8番パー5で第2打をグリーン奥まで運び、第3打の12ヤードのアプローチを1メートルに寄せてバーディー。9番パー4でも第2打を1メートルに寄せて連続バーディー。スコアをふたつ伸ばして通算13アンダー。前半終了時点で、2位のザラトリスとは5打差。結局、スタート時点より差を広げた。

 プロゴルフの世界で勝負を分けるサンデーバックナイン(最終日の後半9ホール)でも、松山は栄光に向けて確実に歩みを進めた。

 祈らずにはいられないと言われるアーメンコーナーの11、12、13番。12番パー3では第1打を左奥バンカーに入れてボギー。続く13番パー5では第1打を右の林に曲げたが、日本のゴルフファンの「祈り」が通じたのか、木に当たり、右セミラフまで戻ってきた。グリーン手前に流れる小川超えを狙った第2打は左に曲がったが、グリーン左ラフにとどまり、第3打のアプローチを1メートル以内に寄せてバーディー奪取。アーメンコーナーをイーブンで切り抜けた。この時点で2位に浮上した同組のザンダー・シャウフェレ(27)=米国=とは5打差。安全圏と思われて、残り5ホールに向かった。

 しかし、メジャー制覇へ試練は続く。15番パー5。第1打はフェアウェーをキープ。池超えの第2打。手前の池を大きく越えたボールは、グリーンも飛び越え、奥の池へ落ちた。1罰打の第4打はグリーンに乗らず。奥のカラーからパターで狙った第5打は入らずに痛恨のボギー。この時点で、4ホール連続バーディーと猛追してきたシャウフェレに2打差まで迫られた。

 しかし、何が起こるのか、分からないのが、マスターズ。16番パー3で、シャウフェレが第1打を左へ池ポチャ。打ち直しの第3打もグリーンオーバーし、まさかのトリプルボギーで通算8アンダーの3位に後退。松山もボギーをたたき、通算11アンダー。その時点で通算9アンダーでホールアウトしたウィル・ザラトリス(24)=米国=とは2打差。ヒリヒリした展開で、勝負はクライマックスを迎えた。

 17番パー4。松山は第1打をフェアウェーキープ。第2打をしっかりグリーンに乗せてパーセーブした。

 2打差をキープして最終18番へ。両サイドから林が迫る難しい第1打をしっかりとフェアウェーキープし、勝利を大きく引き寄せた。最後のパットを沈め、長い、長い18ホールを戦い終えた。

 マスターズに日本人が初参戦して85年。32人の日本人選手が挑み、誰も立つことができなかった頂点に、松山がついに立った。

 現地時間2021年4月11日。日本時間12日早朝。日本列島が歓喜に湧いた。「松山英樹」の名前は永遠に日本ゴルフ界の歴史に刻まれることになった。

 ◆日本人選手の海外メジャー制覇

 ▽レギュラー男子 2021年マスターズ 松山英樹

 ▽レギュラー女子

 1977年全米女子プロ 樋口久子

 2019年AIG全英女子オープン 渋野日向子

 ▽シニア男子

 2013年全米プロシニア 井戸木鴻樹

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