工藤遥加、初Vへスコア落とすも首位キープ…父・工藤公康監督のソフトバンクに負けじ「私も頑張りたい」


17番、バンカーショットをピンそばに付け、パーをセーブした工藤遥加

17番、バンカーショットをピンそばに付け、パーをセーブした工藤遥加

◆女子プロゴルフツアー リゾートトラストレディス第3日(29日、愛知県セントクリークGC=6605ヤード、パー72)

 首位から出た工藤遥加(28)=フリー=は1バーディー、2ボギーの73で通算9アンダーにスコアを落としたが、首位をキープした。プロ野球ソフトバンクの工藤公康監督(58)の長女は父の無言のゲキを受け、プロ11年目で悲願のツアー初優勝を目指す。1998年度生まれ「黄金世代」の新垣比菜(22)=ダイキン工業=と勝みなみ(22)=明治安田生命=が1打差2位。18歳のアマチュア・岩井明愛が2打差の4位で続く。

 西武時代の父・公康をほうふつとさせる工藤が首位を死守した。前半、スコアを1つ落としたが、後半はすべてパーを重ねた。「ピンポジションが難しかったのでイーブンパーなら上出来と思っていた」。ゲームプランより1打多かったが、納得の表情で我慢の一日を振り返った。

 この日はパットがややショートするシーンが目立ったが「しっかり狙って、そこ(短め)だった。緩んだわけではない」。順位が大きく動くことで「ムービングサタデー」と呼ばれる第3日。工藤は冷静なプレーで順位を動かさなかった。

 今季の平均飛距離ランクは8位(250・62ヤード)。プロ野球で224勝を挙げた父譲りの身体能力を持つ。ただ、父のような勝負強さをまだ発揮できていない。ゴルフを本格的に始めてから約3年でプロテストに一発合格。同年12月の新人戦加賀電子カップでも優勝。順調にプロ生活をスタートさせたが、その後は伸び悩み、ツアー未勝利が続く。

 14年のサントリーレディスで最終日最終組で迎えたが、74とスコアを落として5位。19年サマンサタバサレディースでも最終日最終組でプレーしたが、やはり、74で3位から13位に後退した。同じ最終組で回った「黄金世代」の小祝さくらがツアー初優勝した。今回の最終日最終組も黄金世代の勝、新垣と回る。「黄金世代の選手はみんなうまい。一緒に回るのが楽しみ」と、工藤は自分に言い聞かせるように前向きに話した。

 今週、父からは一切、連絡はないという。「そっとしておこう、と思ってくれているのだと思います」と柔らかな笑みをたたえながら話した。巨人を相手に11連勝(オープン戦を除く)と圧倒的な強さを誇るソフトバンクを率いる工藤監督は、勝負師だからこそ分かる心情でまな娘を気遣っている。父の気持ちが分かるだけに、期待に応えたい思いが強い。「お父さんが頑張っているので、私も頑張りたい」と父そっくりの目を輝かせた。プロ11年目。工藤遥加が勝負の時を迎えた。(竹内 達朗)

 ▽出身 1992年11月18日、埼玉・所沢市生まれ。28歳。

 ▽スポーツ少女 中学校卒業までアイスホッケー、バスケットボール、テニス、水泳を万能にこなした。

 ▽ゴルフ歴 12歳から始めたが、年に1度、クラブを握る程度だった。東京・日出高入学後から本格的に取り組み、すぐに80切り。2011年に高校を卒業し、同年7月のプロテストに一発合格。ツアー最高成績は14年サントリーレディスの5位。

 ▽家族 両親、兄(俳優の阿須加)、妹2人、弟1人。

 ▽サイズ 171センチ、65キロ。

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