◆女子プロゴルフツアー ▽2021年メジャー第3戦 日本女子オープン 第3日(3日、栃木・烏山城CC=6550ヤード、パー71)
33位で出た渋野日向子(22)=サントリー=が5バーディー、ボギーなしのこの日ベスト、国内メジャーで自己最少に並ぶ66で通算4アンダー。首位と5打差6位で優勝争い圏内に急浮上した。全体で最少の23パットと小技が好調で、唯一のボギーなしだった。69の勝みなみ(23)=明治安田生命=が9アンダー単独首位に浮上し、メジャー初制覇に王手をかけた。西郷真央(19)=大東建託=は70で1打差2位とした。
終盤の難関2ホールに入る前、渋野は古賀雄二キャディーに宣言した。「17、18番でフェアウェーキープできたら、今日焼き肉食べようかな」。ともにフェアウェーを捉え、2ラウンド(R)連続ボギーだった17番は今大会初のパー。18番は第2打を80センチに運ぶ完璧なショットからバーディー締め。“食欲の秋”に焼き肉をモチベーションにして、会場を沸かせた。
「17番ティーショットは緊張していたので、一番うれしい。(18番は)鳥肌が立った」と声を弾ませた。上位選手たちが「ピンが(端に)振られていた」と語ったように、アンダーパーが8人しかいない難設定で地力を見せた。66人中唯一のボギーなしで、この日ベストの66は国内メジャーでは、初優勝した19年5月のワールドレディスサロンパスカップ3Rに並び最少となった。
フェアウェーキープ率57%、パーオン率56%とショットは満足いく数字ではないが、この日のゴルフを支えたのは第2R(2日)に35パットと苦しんだグリーン上だった。スタート前に打ち出す方向の確認を入念に行い、「ミスヒットが少なくなった」。1番で5メートルのパーパットを沈めるなど最少の23パット。「パッティングは100点の内容」と胸を張った。
前日の75からの激変に「全く別人のゴルフ。18ホール、悔いなくできた」と笑顔。今季最多の4327人が入場し「魅せるゴルフができた」と満足げだ。首位とは5打差6位に迫った。大会史上の最大逆転差は85年森口祐子の6打差とデータ上は優勝の可能性をつないだ。渋野の最終日逆転Vは19年デサント東海クラシックの8打差がある。「(逆転は)なくはないと思うけど、とりあえず冷静に。悔いのないように」と、19年11月以来の優勝へ全力を尽くす。(岩原 正幸)
◆渋野の最終日逆転 全て19年に挙げた日米ツアー5勝中、最終日の逆転は3勝。ワールドレディスサロンパスカップは首位タイから出て、71で回り初優勝。資生堂アネッサレディスは2打差2位から追いつきプレーオフを制した。AIG全英女子オープンは2打差首位から、68で逃げ切り。デサント東海クラシックは8打差20位から64で大逆転。国内4勝目の大王製紙エリエールレディスは2打差7位から66で逆転した。