
18番、パッティングする稲見萌寧
◆女子プロゴルフツアー TOTOジャパンクラシック 第3日(6日、滋賀・瀬田GC北C=6616ヤード、パー72)
5位から出た、賞金ランク首位の稲見萌寧(22)=都築電気=が2打差の2位に浮上した。5バーディー、ボギーなしの67で、通算11アンダー。単独3位以上で年少3位の22歳101日での生涯獲得賞金3億円突破も懸かる一戦で、腰の状態が万全ではない中、初の賞金女王へ節目の通算10勝目を狙う。約1689万円差のランク2位で追う古江彩佳(21)=富士通=が13アンダーで単独首位に立った。
紅葉の見頃が迫る無観客のコースで、賞金女王に向けた熱い戦いが繰り広げられた。稲見は3番で8メートルを沈め、前半にスコアを1つ伸ばすと、後半はショットをピンに絡めて4バーディーを重ねた。連日の67で2打差2位に浮上し、「パットで良い距離が入ってくれた」とうなずいた。
上田桃子(35)、鈴木愛(27)の歴代賞金女王と同組でラウンドし、フェアウェーキープ率100%、パーオン率89%と持ち味のショットがさえた。腰痛から2週ぶりに復帰し、状態は決して良くない。大会前は「洗面台で顔を洗うのもきつい」状況で、5日朝は練習場でショットが打てないほどの満身創痍(そうい)だ。この日は「痛みはゼロではないけど、何とか大丈夫」。フルショットはできないが、連日の痛み止め薬の服用で耐えてみせた。
現在、生涯獲得賞金は2億8826万3987円で、単独3位以上なら、宮里藍、横峯さくらに次ぐ年少3位(22歳101日)で生涯3億円を突破する。だが、稲見は腰の状態を気にしながら、目の前のことに集中する。「(棄権した)2週前も3日目まで大丈夫で最終日の朝、急に痛くなった。その日その日で怖い部分もある」と明かした。
賞金ランクで約1689万円差の2位に迫る古江が首位に立ち、最終日は直接対決となる。稲見は2週前に同組で回り、「(古江は)どこからでもパターが入りそうだった」と最近3戦2勝の絶好調ぶりを評した。
最終日への思いを問われると、女王に向け、賞金差を広げたい思いはあえて封印する。「もちろん優勝したい思いはあるけど、目の前の一打を頑張るだけ」。これまで9勝中、最終日の逆転は5回。うち3打差逆転が2回あり、十分射程圏内だ。優勝賞金は3300万円。残り4戦中、最も賞金額の大きい今大会で、死力を尽くす。(岩原 正幸)
◆稲見が達成する可能性がある主な記録(いずれも1988年ツアー制施行後)
▽優勝の場合 ツアー通算10勝目。2005年の宮里藍の20歳105日に次ぐ、年少2位の22歳101日での到達。
▽単独2位以上 15年にイ・ボミが記録した2億3049万7057円のシーズン最高賞金額超え(※イ・ボミは32試合、稲見は今週が42試合目)。
▽単独3位以上 生涯獲得賞金3億円突破。07年宮里藍の21歳258日、08年横峯さくらの22歳87日に次ぐ、年少3位。72試合目の到達は、アン・ソンジュ(55試合)、宮里藍(57試合)に次ぐ、3番目のスピード記録。