
ツアー初優勝を果たし、涙でガッツポーズする岩井千怜 (カメラ・竜田 卓)
◆女子プロゴルフツアー NEC軽井沢72 最終日(14日、長野・軽井沢72G北C=6679ヤード、パー72)
首位タイで出た岩井千怜(ちさと、ホンダ)が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算13アンダーでツアー初優勝を飾った。双子の姉・明愛(あきえ)と切磋琢磨(せっさたくま)してきた20歳が、後続を1打差で振り切り、ルーキーで一番乗りの頂点に立った。埼玉栄高のゴルフ部時代に当時監督として指導した恩師の橋本賢一さん(関東高等学校・中学校ゴルフ連盟理事長)が14日、スポーツ報知の取材に応じ、千怜の初優勝を祝福した。
橋本さんは、会場には駆けつけることができなかったが、テレビに張り付いて千怜の歓喜の涙を見守った。「本当にうれしいね。(6月のリシャール・ミル)ヨネックスレディス(2位)でもいいゴルフをしていたけど、今日はピンを狙っていったゴルフをしてくれて、最終ホールのセカンドショットまでは完璧だったね。最後は緊張したのかな。でもよくやったと思うよ」と健闘をたたえた。
千怜は初日に66をマークし、1打差の2位と初優勝へ、絶好のスタートを切った。橋本さんは初日のラウンド後に千怜本人と電話で連絡を取り、「とにかく優勝のチャンスがあるから、頑張って」と激励。すると、千怜も「(10月の)日本女子オープンに出たいと思っています。最近は調子もいいから、勝てるように頑張ります」と落ち着いた声で話した。昨年のQT(予選会)90位に沈んだ後も橋本さんは「プロテストに合格して気が抜けていたように思えた。『いいかげんにしなよ』って言いました」とあえて厳しく言った。厳しい指導はいまも変わらないといい、プロになってからもメンタル面で支えている。
高校時代は双子の姉・明愛と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。「2人とも本当に素直で、言われたことは聞き入れる。練習やトレーニングもしっかりしていた。ほっといたら、ずっと練習していた」と橋本さんは振り返る。3年生の時は明愛が、ショットの飛距離を伸ばし、日本女子オープン14位でベストアマチュアを獲得するなど急成長。千怜は姉と飛距離で10ヤード以上の差がついて「明愛は250ヤードぐらい飛んでいて、自信もみなぎっていたから。千怜は何も言わないけど、悔しさはみられた」とバネにして黙々と練習に励んでいた。
プロでは、千怜が先にルーキーイヤーで初優勝を飾った。次は明愛の初勝利にも期待が膨らむ。「明愛も今度は自分が、と思っていると思うので、勝ってもらいたいし、千怜もポンポンと次も勝っていけるように頑張ってもらいたい」と、姉妹のさらなる飛躍を願っていた。